得点力不足を補うには「アレ」しかない!? ロッテがソフトバンクとのクライマックスシリーズ(CS)突破に向け、早くも並々ならぬ意欲を燃やしている。

 チームは14日から始まる短期決戦に備え、11日から本拠地ZOZOマリンで全体練習を開始。選手は公式戦の疲れも見せず、午前中からノックや打ち込みを行うなど精力的に汗を流した。が、これまでのシーズン中の練習と比べ、この日は明らかな違いが一つだけあった。それが「バント練習」の徹底ぶりだ。

 ロッテは通常、走力のある選手らが試合前にバント練習を行うが、この日は大半の野手が打ち込み後に入念なバント練習を敢行。CSで4番が濃厚なベテラン・清田育宏外野手(34)や、めったにバントのサインが出ない長距離砲・安田尚憲内野手(21)もコーチらが見守る中、真剣な表情で小技の精度を高めた。

 突如始まったこの「全員バント」。背景にはシーズン中からの深刻な得点力不足と相手投手陣の充実ぶりが挙げられる。

 ロッテは今季、チーム打率が2割3分5厘でリーグ最下位。シーズンを通して貧打に悩まされ続けた。今後は短期決戦とはいえ相手投手は今季最多勝、防御率、奪三振の3冠に輝いた千賀を筆頭に、石川、東浜、和田、モイネロ、森らが控える。普通に考えてもこの投手陣を前に連打や大量得点は期待できない。そこで井口監督ら首脳陣は「とにかくランナーが出たら送りバント」を再確認。接戦に持ち込み僅差での勝利をもぎ取る構えだ。

「(CSは)短期決戦なんで。どんどん点を取っていくしかない。(相手は)1勝のアドバンテージがある。我々は勝ち進まないといけない」と全体練習後に語気を強めた井口監督。野球の基本であるバントの徹底で10年ぶりの下克上を狙う。