パ・リーグは9日のロッテ―日本ハム戦、ソフトバンク―西武戦でレギュラーシーズンの全日程を終えた。今後は優勝したソフトバンクと14ゲーム差の2位・ロッテが14日から日本シリーズ進出をかけてペイペイドームでクライマックスシリーズ(CS)に臨む。その中で今年9月に巨人から交換トレードでロッテに電撃移籍した澤村拓一投手(32)が注目を集めている。完全復活した剛腕の周囲で、いったい何が起きているのか――。

 レギュラーシーズンの全日程を終えたロッテは本拠地での調整を経て、CSに臨む。首尾よくいけば日本シリーズまで続く〝下克上の旅〟で、株が急騰するのではないかとチーム内外から注目されているのが他でもない澤村だ。

 9月に電撃トレードで加入してから救援陣の一角を担ってロッテのCS進出に大きく貢献。このシーズン終盤の大活躍だけでも剛腕の評価はうなぎ上りだが、ポストシーズン進出により短期決戦における適応力や実力、メンタルの強さなどを披露する機会を得た。

 その最中で好投を連発してチームに勝利を呼び込んだら、10月に海外FA権を取得した右腕にどんなプラスがもたらされるか? 移籍が噂される米球界へ最高のアピールとなるばかりでなく、ロッテ残留、国内他球団移籍に舵を切った場合でも好材料となる。

 しかも澤村はチームが低迷した10月以降も好調を維持してきた。ロッテ移籍後は登板22試合で0勝2敗1セーブながら13ホールド、29奪三振、防御率1・71の好成績は他球団の救援投手と同条件で比較しても上位に名を連ねる。澤村にとってチームのCS進出はまさに「渡りに船」。古巣相手の日本シリーズにまで進出すれば「恩返し」の話題にも事欠かなくなるため、自らの商品価値をさらに高騰させる可能性さえ秘める。

 自身はCS進出を決めた8日の試合後に「チームとして(西武戦に)勝ったことでそこ(CS)に行ける権利を得たことはものすごく大きい」とチームのCS進出を高く評価。その上で今後の戦いについて「ホークスと戦う中で挑戦者として戦う気持ちは変わらない。挑戦者、チームの一員として自分も戦っていければなと思う」と抱負を語った。

 巨人にいた今季序盤は極度の不振により屈辱の三軍落ちも経験したが、新天地で不死鳥の如く蘇った。もはや失うものはないだけに、CSでの登板は何かと注目を浴びそうだ。