盗塁王のソフトバンク・周東「このまま死ぬんじゃないか」と落ち込んだ〝地獄の夜〟

2020年11月09日 23時35分

ソフトバンク・周東にとって今季は、忘れられないシーズンとなりそうだ

 パ・リーグは9日、公式戦の全日程が終了し個人主要タイトルが決定した。ソフトバンク・周東佑京内野手(24)が、育成出身選手としては史上初の「盗塁王」に輝いた。王貞治球団会長(80)が「今年は何といっても周東。こんなに頼りになる選手はいない」とまで評した韋駄天が、大台の50盗塁をクリアして快挙に花を添えた。

 立身出世を果たした24歳は、シーズン最終戦となった9日の西武戦(ペイペイ)後、自身のターニングポイントとなった〝地獄の夜〟を明かした。

「9月12日…翌日が(13時開始の)デーゲームだったんですが、寝付けなかった。死ぬんじゃないかと、このまま。本当にグラウンドに行きたくなかった」。

 9月12日の本拠地ペイペイドームでの西武戦。7回に送球エラーを犯していた周東は、8回の守備でも送球ミスでピンチを招いた。失点につながる痛恨のプレー。攻守交代でベンチに戻ると、こらえきれず悔し涙がこぼれた。人前で涙を見せることを気にする以前に、責任を痛感して感情を抑えきれなかった。

 プロとして自分の弱さを思い知った。「ずっと考えすぎてもよくない。どこかでスパンと切らないとダメ。野球のことは球場で考えて、帰ったら忘れるじゃないけど、切り変える。『楽に考えよう』と思いました」。どんなに活躍しようが、失敗しようが、翌日にはまた新しい試合が待っているのがプロ野球。一喜一憂しない考え方とメンタルがコンスタントに成績を残すために必要と心得、意識改革を図ったことがシーズン終盤の大躍進につながった。

 ハングリー精神で育成から這い上がり、一軍では失敗の連続から〝成功の鍵〟に気づいた周東。身も心もズタズタになった〝地獄の夜〟を境に、運命が変わり始めた。