今季限りで現役引退を表明していた巨人・岩隈久投手(39)の引退セレモニーが7日、東京ドームでのヤクルト戦終了後に行われた。

 涙を笑顔に変えて、別れを告げた。時折声を詰まらせながらも、球団、ファン、そして家族に感謝の言葉を述べた岩隈は、最後はこう言葉をつなぎ挨拶とした。

「この2年間、ジャイアンツで一軍復帰することはできませんでしたが、現役最後にこのジャイアンツのユニホームを着て、この日を迎えられたことに幸せに感じています。これからも野球を通じて、誰かを幸せにできる存在でありたいと思います。21年間、本当にありがとうございました!」

 10月23日の引退会見の席で、原辰徳監督(62)は今夏、状態を見たいと東京ドームでのシートバッティングを提案したことを明かした。当時も決して万全ではなかった岩隈だが、時間をかかっていることもあり〝勝負をかけ〟その場に臨んだ。

 しかし、指揮官がスタンドから見守る中、渾身の力で投げた1球は無情にも大きく外れ、同時に右肩を脱臼した岩隈はその場にひざまずいた。結局、この1球が「今年ダメなら…」の思いに〝ダメを押した〟格好となった。最後はケガとの戦いだったが、最後まで諦めなかった。日米通算170勝。もう悔いはない。

 セレモニーには家族をはじめ、巨人・菅野、ヤクルトからは楽天時代にバッテリーを組んだ嶋と、マリナーズ時代のチームメート・青木から花束を受け取った。万感の思いでマウンドに別れを告げた背番号21は、さわやかに東京ドームを後にした。