「世界のSHUTO」だ。ソフトバンクの周東佑京内野手(24)が30日の西武戦(メットライフ)で連続試合盗塁を「13」に伸ばし、日米最長記録を打ち立てた。7回に今季49盗塁目となる二盗に成功。自身のプロ野球記録を更新するとともに、1969年バート・キャンパネリス(アスレチックス)のメジャー記録12試合を上回った。

 一死から左前へ流し打って出塁。3度けん制を入れた西武バッテリーの厳重警戒を掻いくぐり、鮮やかに駆けた。敷田二塁塁審の力強い「セーフ」のジェスチャーにも、塁上でずれたヘルメットをクールに整えた。記念すべき世界記録樹立の瞬間。歴史的シーンを刻んだボールは一塁側ベンチに大切に返された。

 昨季終盤のこと、球場で不意に呼び止められた。声の主は通算1065盗塁を誇る「世界の盗塁王」・福本豊氏(72=阪急)。いきなりの第一声で「お前さん、盗塁王になりたいんか」と飛んできた。直立不動で「ハイっ!」とだけ返すと「なら、とにかく打て。打って出るんやで」と返された。福本氏は優しく笑っていた。その言葉に、まだ代走・守備固め要員だった周東は、すぐにメッセージを感じ取ったという。「『一芸で終わるな』『レギュラーを掴んで、もっと足を生かして大きくなれ』っていうメッセージだと受け止めました」。

 あれから1年――。この日、唯一の出塁は3打席凡退で迎えた第4打席。外角の変化球を流し打った技ありの一打だった。課題だった打力は開眼中。規定打席未到達ながら、打率は2割7分をうかがう。憧れの盗塁王からのメッセージに応える形で、鷹のスピードスターが球界を席巻している。