広島・長野久義外野手(35)が値千金の一発だ。29日のヤクルト戦(マツダ)はベンチスタートながら7回、1点を返しなおも二死二塁のチャンスに代打で登場。ヤクルト・清水が投じた2球目のスライダーを捉えると、ライナー性の打球は右翼席に飛び込む同点の7号2ランとなり、試合をドロー決着に持ち込んだ。

 最近は若手の積極起用が続くことでベンチスタートとなることもあるが、それでもここぞの場面での勝負強さを発揮した。3日のヤクルト戦(神宮)以来の一発に、長野は「風に乗ってくれました」とお約束のコメント。29日17時広島地方気象台発表の天気予報によると、風向きは「北の風、のち北東の風、0・5メートル」。マツダスタジアムの打席から見れば逆風なのだが…。

 実は役者はこの日の朝、古巣のファンも得意のサプライズを仕掛けて喜ばせていた。

 巨人の公式ツイッターが大台の2000安打まで7本としていた坂本勇人内野手の応援企画としてゆかりの人のインタビュー動画を公開しているのだが、巨人時代の背番号「7」にちなんでか、今回は他球団選手ながら盟友の長野が登場。「#そっけないver.」と「#ほっこりver.」という2種類に出演し「勇人、〝3000安打まで残り1007本になりました〟。もう少しかかりそうですけど、ケガなく頑張ってください」などとユーモアあふれるメッセージを送った。

 広島ファンへの配慮も忘れない。「もしマツダスタジアムで2000本を達成することになっても、カープファンはすごく温かいので喜んでくれると思います。気にせずに打ってくれ、とは言えないけど、シングルヒットくらいでお願いします。また、バイバイ」とちゃめっ気を振りまいた。

 この動画投稿には「サカチョーしか勝たん!」「長野さんらしい言葉。泣けた」などのコメントが寄せられ、29日夜時点で合わせて「いいね」が約3万。リツイートは6000を超える大反響となっている。

 改めてG党における〝サカチョー〟の不動人気を見せつけた格好だが、長野自身もこの日の1発でプロ通算149本塁打とし、節目の150号に王手をかけた。移籍2年目も優勝することはかなわなかったが、古巣の後輩に負けじとメモリアルな一打で鯉党を盛り上げたいところだ。