パ・リーグ3位・西武が今季、唯一で最大の強み「ブルペン陣の安定」によりCS出場圏内の2位・ロッテに残り11試合で1ゲーム差まで迫っている。

 28日の楽天戦(メットライフ)に4―3と競り勝った3位・西武は貯金を2とし、2位・ロッテに1ゲーム差と肉薄。4位・楽天を2・5ゲーム差に退けた。

 辻監督は「野球の流れとしては(2―1とされた6回のピンチでも)追いつかれていない。そういうところで投手陣はよく頑張ってくれた。ここにきて宮川なんかは気持ちの強さが出ている。今年1年の経験がさらに来年への自信となって大きく成長してくれると思う」とコメント。2―1と1点差に迫られた6回二死一、三塁のピンチで2番手で救援したドラフト1位ルーキーがわずか2球でこれを脱したそのマウンドさばきを称えた。

 今季の西武は秋山のメジャー移籍とそれに連動する〝森山外源〟の長期低迷で自慢の打線がここまでチーム打率2割3分7厘(リーグ5位タイ)、同435得点(同4位)と低迷。一方で、チーム防御率4・23は安定の3年連続リーグ最下位だが、CS出場権争いの根拠となっている救援防御率は3・50とリーグ3位。1試合平均の得点が昨年の5・29から3・99まで落ちた攻撃力の低下を、盤石のブルペン陣がカバーし1点差ゲームの勝敗24勝10敗(勝率7割6厘=リーグ1位)を支える〝命綱〟となっている。

 6月から5か月間の月間防御率推移を見ても先発陣のそれが5・01、5・06、5・06、4・93、3・54と尻上がりに上昇してきたのに対し、ブルペン陣のそれは3・41、3・56、3・21、3・49と一貫して高値安定。前半、ブルペンの中心を担っていたギャレットの不振を後半は森脇が埋めるなどの入れ替えもありながら、宮川、平良、増田との方程式で柔軟な逃げ切りパターンを確立してきた。

 辻監督が「今年この打線の調子からしても、これだけ上で勝負できているのはやっぱり中継ぎ陣のおかげ」というように15年ぶりに古巣復帰した元守護神・豊田清投手コーチ(49)の手腕によるところが大きいようだ。

 原則、チーム状況によらず3連投はさせない徹底したブルペン運用と的確な救援陣の状態の見極めが〝打てない西武〟をここまでカバーし、残り11試合でCS出場圏争いの主役を担う原動力となってきた。

 過去2年間の「超打高投低」から「微投高打低」へのチームカラー急変はファンをやきもきさせてきたが、今ある武器をフル活用してこの位置にいることが西武の底力なのかもしれない。