広島の〝異例の上位5人指名〟が投手陣に刺激を与えているようだ。26日のドラフト会議では佐々岡真司監督(53)ら現場の意向も反映され、1位の栗林良吏投手(24=トヨタ自動車)を筆頭に1から5位まで投手ばかりを指名。これだけの〝投手偏重ドラフト〟は指名した7人全員が投手だった2004年以来16年ぶりだった。

 球団の大胆なかじ取りで尻に火が付いたのが、リーグ5位の防御率4・24に低迷する投手たちだ。「投手ばかり5人というのはそれだけ現有戦力に不安があるということ。今の選手にとっては『頼りないぞ』と言われているようなもので、危機感や反骨心を感じない方がおかしい」(チーム関係者)。目の色が変わったかのようにドラフト後の2試合は計18イニングで2失点と急に頼もしくなってきた。

 28日のヤクルト戦(マツダ)に先発し、7回1失点で4勝目を挙げた遠藤淳志投手(21)は「来年は今よりも一日一日が勝負になる。即戦力の人たちにも負けていられない」と話したように、投手陣の危機感は相当なもの。優勝が消え、完全に消化試合と化した残り10試合は、立場が微妙な投手にとって来季を左右する大事な登板になりそうだ。