西武ドラフトで〝隠れた優良物件〟栗林を「一本釣り」か

2020年10月26日 06時15分

渡辺久信GM

 ドラフト巧者・西武の1位指名は2年ぶりの一本釣りが濃厚となってきた。

 ドラフト前日の25日、オンライン取材に応じた渡辺久信GMは「(投手、野手含め)数人が候補に挙がっている。明日のドラフトまでには決まると思います。公表する年もありますけど、しない年もある。今年は(22日の編成会議で)最後まで考えましょうという結論になった」と語った。

 近年は高橋光成(2014年)、多和田真三郎(15年)、今井達也(16年)、昨年の佐々木朗希と1位指名を事前公表。佐々木以外は一本釣りを成功させてきたが、今ドラフトは一転して駆け引きに転じる可能性が高い。

 大方の予想では近大・佐藤輝明内野手の競合指名が本命視されている。背景には長年チームの主砲として活躍してきた中村が現在37歳とキャリアの晩年を迎え、13年ドラフトでダブル獲得に成功した森、山川のMVPコンビのFA権取得も目前に迫っていることがある。しかし、過去に野手の1位指名12回中、競合クジを引いたのは清原和博(1985年)だけという歴史を見ても、このリスクはおそらく避けたいところだ。

 公言せずドラフト当日を迎えるということは、むしろ佐藤に行かない可能性の方が強いというのが西武の過去のドラフト戦略から見える傾向だ。

 佐藤や投の目玉である早大・早川を〝隠れ蓑〟に、それ以外で狙っている即戦力投手をできれば一本釣りしたいという意思の表れが今回の1位非公表、「当日まで熟考」の裏にあるストーリーだろう。

 そして「最後まで考える」の意味は、狙っている即戦力投手が一本釣りできる状況なのか、確率が2分の1に下がるのかの情報を入札の直前まで探ると考える方が現実的だ。

 その場合の最有力候補は球団が継続的に調査を行い、渡辺GMが「大学時代から見ている」と高く評価してきたトヨタ自動車の栗林良吏投手(24)だろう。「本当の1位評価は5、6人しかいない」と言われている今ドラフトで佐藤、早川、中京大中京の高橋のプロ志望届提出から展開的に〝隠れた優良物件〟となっている栗林は、まさに絵に描いたような一本釣り候補といえる。

 最終的にリストアップした選手は40人前後。渡辺GMが「即戦力というところが一番だと思うが、将来的なことも考えて絞ったリストの中にも即戦力と素材型の選手とかが豊富にいるので、その中から選びたい」と言うように、もう一方の懸案である野手補強は2、3位の枠内で高校生、大学生から指名したいというのが今ドラフトの方向性と見られる。