【復刻!ノムさんのボヤ記⑲】今年2月11日に亡くなった、野村克也さんに感謝と敬意を込め、楽天監督最終年となった、2009年シーズンのボヤキを一挙公開! 温暖な地方出身の選手には〝天才的打者〟が多い、と分析したノムさん。そのココロはというと…。1年間完全密着で抽出した珠玉のボヤキの数々を、当時を懐かしみながらお楽しみください。

 ◆8月11日 ソフトバンク戦(Kスタ宮城) 試合前

 あ~寝だめはできないかな。(前日のオフは)目が覚めたら(午後)3時ごろや。14時間も寝てたんや。途中、2回くらい(トイレで)起きたけど、すぐに寝るんだよ。6時から雑誌のインタビューが入ってなかったら、もっと寝ていたな。

 九州出身でいい選手はいるか? 秋山幸二(ソフトバンク監督)、前田智徳(広島)、草野(大輔・楽天)…。天才的バッターが多いよな。何が言いたいのかというと、努力家がいないだろ。温かい国のやつらって怠け者が多くないか。ハワイだのグアムだの行ってみい、あまり男が働かないやろ。

(ヤクルト監督時代に秋季キャンプを張った宮崎県)西都市でよう働いているおばさんたちがいたんだよ。「お父さん何やってんの?」って聞いたら「家で酒くらっとる」ってな。いろんなところで聞いたけど、だいたい同じ答え。宮崎とかはお母さんばっかり働いているんじゃないの。

(試合は6―0で勝利。試合後の会見場に現れるなり)

 そこにトイレはあるのか。はよ終わろう。膀胱が破裂しそうだ。(会見中にトイレを我慢できなくなり中座。戻ってくると)待っててくれたのか。あ~スッキリした。男なら分かるやろ。年いくとな、我慢すると漏らすからよ。

 ◆8月12日 ソフトバンク戦 試合前

 携帯電話を換えるんや。機種が古いとね、電池がすぐになくなるんや。どんな機種かって? (サッチーが決めるから)オレにも分からん。女の子からの電話を待ってるんだけど、誰からも掛かって来ない。電話代安くて済むわ。誰にも掛けないんだから。テレビ電話? 画面に向かってしゃべるんか。チューとかするのか?

 ◆8月13日 ソフトバンク戦 試合前

(花巻東の菊池雄星の試合について)

 3回くらいまで観てたかな。プロで活躍できるかって? 伸びしろがあるかどうかやな。スカウトは難しいよ。やっぱり、飯を食うヤツがいい。基本中の基本。オレも一回り(年齢が)上の選手に「お前はよう食うな。素質あるよ」って言われてな。それがずっと耳に残ってるのかな。

(野球が五輪種目から落選の話題に)

 2020年まで野球ないの? もう生きてねえな。解説やってるって? いやいやもう死んでるよ。しかし、そう考えると焦るよな。人生振り返ると、女性部門はよくなかった。生活部門、仕事部門、経済部門は満足だけど、女性部門がな…。

 ◆8月14日 ロッテ戦(Kスタ宮城) 試合前

(山城新伍さんの訃報に)

 付き合いはなかったけど、北新地で会ったことはあったな。1回だけ共通の知り合いとクラブに行って同席したかな。女性にモテてな、羨ましかったよ。

 ◆8月15日 ロッテ戦 

(試合は5―1で勝利。先発の4年目・木谷寿巳がプロ初勝利)

 西武に1・5ゲーム差? あっそう。別にこれといった感想はない。まだAクラスとか、優勝を狙えるチームじゃない。4年前から「頭を使え、考えろ。無形の力をつけろ」とやってきたけど…。日本ハムと対戦すると、分かるでしょ。選手個々が何をやるべきか、どういうことをしたら相手が嫌がるかを知ってるじゃん。そういうことができると、チームとして機能する。(楽天は)脇役が脇役に徹しきれない。みんな4番バッターみたいなことをやっている。

 ◆8月16日 ロッテ戦

(試合は7―6でサヨナラ勝ち)

 よう勝ったね。0―6から追いついたのか。苦手ロッテに3タテは大きい。次は日本ハムか。3連敗はしないようにしないと。
   
〈毎週日曜「東スポWeb」掲載〉