巨人・原監督の「意表采配」は日本シリーズへの布石か

2020年10月23日 05時15分

日本シリーズに向けた采配を振るう原監督

 備えあれば憂いなし、ということか。巨人は22日のヤクルト戦(神宮)を6―0で制し、優勝マジックを6に減らした。残り20試合を切った今カードでは原辰徳監督(62)の采配に変化も現れた。守護神の途中降板や長距離打者へのスクイズ強行…。意表を突いた戦術はいずれも不発に終わったが、他球団の間では短期決戦となる日本シリーズへの布石との見方も広がっている。

 久しぶりに投打がかみ合った。初回に押し出し四球で先制し、3回は岡本が11試合ぶりに26号2ランを放つなど3点を追加。7回には坂本、岡本の連続適時打でダメ押しし、投手陣も零封リレーで8日ぶりの白星を勝ち取った。理想的な試合運びに、原監督も「いい感じに点が入りましたね。やっぱりクリーンアップが打てば勝つよ!」とえびす顔だった。

 この日はベンチが大きく仕掛けるような展開ではなかったが、シーズンも最終盤を迎え、驚きの采配も顔をのぞかせてきた。まずは20日の3連戦初戦。1―0の9回に守護神デラロサが二死一、三塁とされたところで降板を命じた。失点すれば新人王を争う先発・戸郷の勝利投手の権利も消えるしびれる場面。そこでワンポイントで投入したのが若手の大江と田中豊で、結果的に連続四球で押し出しとなって追いつかれた。

 21日の2戦目は同じく1点リードの5回無死二、三塁で強打の大城にスクイズのサイン。大城はバットに当てることができずに空振りし、こちらも不発に終わった。

 デラロサを信頼して同点に追いつかれるまでは続投、大城の打力にかけて犠飛で追加点を狙うなどの選択肢もあっただろう。原監督は大江の投入を「最善策」、大城へのスクイズ指示には「何とか当ててもらいたいというところはあるよね。まあ、そういうことを言っても仕方がない」と語るにとどめている。

 奇策とも言える戦術を繰り出した〝真の狙い〟を巡っては、ライバル球団から日本シリーズの短期決戦を見据えた布石との見解が広がっている。

 セ球団関係者は「試合を動かそうとしたのは間違いないと思う」とした一方で「マジックがひと桁になった緊張感のある展開の今しかできないこともある。今よりもプレッシャーがかかる日本シリーズで大江や田中豊がああいう厳しい場面で力を出せるのか、スクイズも短期決戦なら『こういう戦術もあるぞ』とチーム内外に示す狙いもあったのでは? 実際にやるかやらないかは状況次第だろうけど、少なくとも相手は〝何かやってくるんじゃないか〟と考えざるを得なくなる」と推測した。

 昨年のソフトバンクとの日本シリーズでは屈辱の4連敗。打線が沈黙しただけでなく、大舞台の経験がない若手のミスも流れを手放す要因となった。しかし、同じ失敗は繰り返せない。目の前の勝利のための「最善策」を打ちながら、極限状態となる日本シリーズのデモンストレーションをしていたのでは――との見方だ。

 自力でマジックを1つ減らし、再びカウントダウンに入った原巨人。今後もどんな策を繰り出すのか目が離せない。