日本一奪回へ立ちはだかる強敵は――。リーグ連覇を確実としている巨人。21日のヤクルト戦(神宮)は1―2の逆転負けを喫したが、最も避けたいのは故障による長期離脱者の発生だ。すでに疲労困ぱいの状況に加え、秋が深まる異例の時期の連戦と気温低下によって故障リスクも増大。屋外球場の試合も多く残しており、日本シリーズに向けて原辰徳監督(62)らの〝寒さマネジメント〟も試されそうだ。


 あと1本が出なかった。4回に坂本の17号ソロで先制したが、追加点を狙った5回無死二、三塁の好機で大城がスクイズに失敗…。粘投していた先発の高橋も6回に燕の主砲・村上に逆転2ランを浴び、万事休した。連夜の1得点での敗戦に、原監督は「なかなか攻撃陣の方がね。もう一つつながらないというかね。今日は少し動きましたけれども、動いても動かなくてもなかなか…。ちょっとつながりが悪いね」と表情も冴えなかった。

 雨天中止と引き分けを挟んで3連敗。この日も2位・中日が勝利し、マジック7のまま足踏みとなったが、最短Vは25日でゴールは近い。指揮官らが過密日程を考慮し、入念にコンディション管理に努めてきたことも首位を独走できた要因だ。

 ただ、本当の正念場はここからかもしれない。今季のセではCSがなく、リーグ優勝と同時に日本シリーズ進出が決まる。8年ぶりの日本一を目指す上で、大舞台に出場できなくなるほどの故障者が出ることは絶対に避けたいところ。例年であれば、今ごろは日本シリーズが行われている時期だ。調整不足のままシーズンに突入し、全力で駆け抜けてきたナインの疲労は最高潮。その中でもまだ連戦は続き、消耗した体に秋の寒さが追い打ちをかける。

 17試合を残す巨人では外気の影響を受けない東京ドームが8試合ある一方で、ビジターの屋外球場が残り9試合。内訳は22日が神宮でのヤクルト戦、27~29日は横浜スタジアムでDeNA戦、11月3~5日がマツダスタジアムでの広島戦、同10日は甲子園での阪神戦で、同3日のマツダ以外はナイターで行われる。雨天中止となった横浜でのDeNA戦1試合分の振替日は未定ながら、さらに日程がズレ込む可能性がある。

 前例のない時期の連戦に、厳しさを増す寒さとの戦い…。これに選手たちはどう向き合うべきなのか。原監督に聞くと「昔は…昔はと言ったらダメなのかな。ドーム球場もなかったし、日本シリーズの時なんかやっぱり寒かったよ。(コロナ禍の)そういう状況の中で我々はやっているわけだから、そこに順応しなきゃダメでしょうね」とピシャリ。宮本投手チーフコーチも「コロナ禍の自粛の中でのトレーニングもしっかり取り組んでくれた。うまい選手じゃなくて、強いタフな選手といったものを我々は求めている」とした。

 すっかり肌寒くなったベンチでは、この日も首脳陣や控え選手は防寒着に身を包んでいた。悲願の日本一へ、故障リスクをどう減らしていくのか。原監督のかじ取りも今後を左右しそうだ。