再起なるか――。ソフトバンクはデニス・サファテ投手(39)が14日に米コロラド州の病院で右股関節変形性股関節症の人工股関節置換術を受けたと19日に発表した。2017年にプロ野球記録のシーズン54セーブをマークするも、18年4月に右股関節を手術してから一軍登板なし。完全復活を期した今年は春季キャンプに参加したが、4月末に家庭の事情で一時帰国。6月に再来日し、7月上旬からファームの練習に合流していたが、状態を上げて二軍戦登板の見通しが立った矢先に患部の痛みを訴え、8月に再び帰国した。

 古傷再発に絶望感を覚えた元守護神は、自身のフェイスブックで現役引退を示唆。投稿後の球団の意思確認に「引退だと言ったつもりはない」と説明したが、今回は復帰の道を閉ざしかねない大手術だった。人工股関節でのプレー復帰は言わずもがな、極めてハードルが高い。

 それでも主治医の判断を仰ぎ、競技復帰の希望を残しながら手術に臨んだ元守護神は、今後どんな道をたどるのか――。球団は14年の入団から18年までに3年連続最多セーブを含む180セーブを挙げ、各3度のリーグ優勝と日本一に貢献したサファテを「功労者」と位置づけている。その功績に最大限の敬意を表して本人の意思を最優先する方針で、球団内では様々なシナリオが検討されている。

 サファテは来季が3年契約3年目。まずは本人が純粋に選手としての復帰を目指すならリハビリをアシストする。その過程が長期になる場合はかつてのエース・斉藤和巳氏のように、本人の意思を確認した上で支配下登録を解き、コーチなどを兼任してもらいながら現役復帰を支える考えもある。仮に引退を決断した場合は「名誉職」を準備した上で、選手発掘や若手育成を含めたチーム強化に携わってもらうプランもあるという。イメージはマリナーズで「会長付特別補佐兼インストラクター」を務めたイチロー氏のような存在だ。

 三笠GMはこの日、サファテとの今後の協議を念頭に「術後の経過を見て今後話し合います。現時点では何も決まっていません」とのコメントを球団を通じて発表するにとどめた。「キングオブクローザー」の今後は気になるところだ。