中日の球団内外から大野雄大投手(32)の沢村賞受賞を推す声が高まっている。大野雄はここまで9勝5敗(2位)、防御率1・92(1位)、奪三振128(1位)と抜群の成績でチームを引っ張っており、球団事情に詳しい関係者やOBたちは「十分チャンスある」「これだけ完投してたら文句ないだろう」と猛プッシュしているのだ。

 先発投手にとって最高の栄誉ともいえる沢村賞を大野雄が受賞すれば中日では2004年の川上憲伸以来16年ぶりだが、最大のライバルとなるのが首位を独走する巨人のエース・菅野だ。ハーラートップの13勝(1敗)を挙げ、最多勝と勝率のタイトルはほぼ確実。防御率(2・02=2位)でも大野雄と激しいトップ争いを繰り広げている。

 だが現役時代、投手だったOBの一人は「私が選考委員なら大野雄を選ぶ」と断言。「勝ち星は打線との兼ね合いで決まるけど、完投や完封はその投手の力を表している」と、ここまで12球団トップの9完投、5完封(菅野は3完投、3完封)を記録している大野雄に軍配を上げるという。

 沢村賞には25試合以上の登板、10完投、15勝、勝率6割以上、200イニング以上の登板、150奪三振、防御率2・50以下という7つの基準項目があるが、今季が120試合制であることを考えれば9完投は十分な数字。投手分業制が進んだことで18年からは沢村賞独自のクオリティースタート率を補則基準として加えているが、いずれにしろ完投数と完封数は大野雄にとって最大のアピールポイントとなりそうだ。

 さらに前出のOBは菅野の3完投3完封のうち2試合が12球団最低の得点、本塁打数の中日打線を相手に記録したものであることに注目。「(大野雄が)中日打線を相手に投げることができたらもっと記録は良くなっていたでしょう」と自虐的?な理論で竜の左腕エースのすごさをアピールした。

 昨年は19年ぶりに該当者なしとなった沢村賞だが、今年は大野雄、菅野のどちらが選ばれても文句なし。ハイレベルな争いがどんな結果となるか注目だ。