巨人は15日の広島戦(東京ドーム)に延長10回、5―5で引き分けた。優勝マジックは8に減り、リーグ連覇にまた一歩近づいたが、不安が残るのは菅野と同等の活躍が求められて加入したエンジェル・サンチェス投手(30)だ。この日は4点のリードを守れず、6回途中5失点KO。好不調の波を減らす改善策として「脱・完璧主義」がキーワードに浮上している。


 最後は午後10時を過ぎ、鳴り物もやんだ本拠地にG党のため息が充満した。4回まで5―1でリードしながら、4時間超えの消耗戦。そのきっかけとなったのは、新助っ人のサンチェスだった。

 5回にカープ打線につかまり、田中広に失投を痛打されて2点を返され、松山には痛恨の同点2ランを被弾…。6回のマウンドにも上がったが、序盤からの制球難を修正できず、一死二、三塁の大ピンチを招いてブルペン勢にバトンを渡した。

 試合後の原監督は無失点で抑えた大江ら5人の救援陣を「リリーフが頑張りましたね」とたたえた一方で、快勝ムードをかき消した右腕をこう突き放した。

「まあ。サンチェスに聞いて。(自分で)どういう評価をするんだろうね。へっへっへ」。〝選手の応援団〟を自負する宮本投手チーフコーチからも「もう彼、12試合目か。日本の野球に慣れてきていると思うけど、もう少し投球に粘りがほしいよね。簡単にスコーンと打たれるんじゃなくて。物足りなさは感じる。先発投手としての責任を感じてほしい」と苦言が止まらなかった。

 来日1年目のサンチェスは、新外国人としては異例の2年契約で今季推定年俸も3億4000万円。無双エース・菅野と並ぶ先発ローテーションの柱を期待されたがゆえの〝破格契約〟だった。だが、一時は右肩の違和感で戦列を離れ、12試合で7勝3敗、防御率は3・34。快投する時もあるが、2回で降板するなど登板ごとの波が激しい面もある。

 その一因に挙げられているのが「完璧を求めすぎる生真面目な性格」だ。ライバル球団からはかねて「走者を一塁に出すと盗塁を警戒するのは分かるけど、極端に走られることを恐れて直球の球速がガクッと落ちる傾向がある。それだけ繊細というか…。よほど理想が高く、神経質な性格に映る」と分析されていた。実際、最速154キロを計測しても、一塁に走者を置いた途端に140キロ台後半を連発する試合も少なくなかった。原監督も以前にサンチェスを「ちょっと利己的な形で見える」と表現したこともあった。

 優勝すれば日本シリーズが待っている。チームにとっては戦力として機能してもらわなければ困る存在だ。それだけに注文も多くなる。

「野手が援護してくれたリードを守ることができずに悔しい」と唇をかんだサンチェス。周囲からの声に耳を傾け、打開策を見いだすことはできるのか。