「令和の怪物」の今季中の一軍デビューが現実味を帯び始めている。ロッテ・井口監督は13日の楽天戦(ZOZOマリン)を前に、ドラフト1位ルーキー・佐々木朗希投手(18)について「ブルペンでもかなり力強い球を投げている。一回は二軍で投げないといけないと思うが、頑張って今季中に(一軍で)放れるようになれれば」との考えを示した。

 佐々木朗は5月下旬のシート打撃に登板して160キロをマークしたものの、その後は「疲労」を理由に予定されていた練習試合での登板を回避。開幕後も一軍に帯同しながら吉井投手コーチらとともに体力強化に努めてきた。

 周知の通り、ロッテは首位ソフトバンクとシ烈なリーグ優勝争いを演じている真っただ中。しかも選手、関係者の新型コロナウイルス感染により、主力選手らが大量離脱している。一人でも戦力になる選手が必要な状況で、指揮官も黄金ルーキーに期待を寄せているのだろう。

 ただ、佐々木朗が「救世主」になるには、今後数々のハードルを乗り越えなければならない。井口監督の言葉通りであれば、まず二軍で実戦登板する。ただ、チームは新型コロナの集団感染による選手大量離脱の影響で今月6日から二軍戦が中止に追い込まれている。再開予定は20日のDeNA戦(平塚)。仮にこの週に二軍戦登板が実現すれば27日以降の一軍登板も可能だが、ロッテは同日から11月5日までソフトバンクと計6試合、2位を争う楽天と計3試合を戦う。

 両チームともロッテにとっては優勝、CS進出を争うライバル球団。いくら160キロ超の剛球があるとはいえ、佐々木朗のプロデビュー戦が重圧のかかる両チームとの対戦になることは考えにくい。そうなると「令和の怪物」が登板可能なのは現時点で11月7日のオリックス戦か同8日の西武戦(ともにZOZOマリン)の2試合に絞られてくる。

「仮にこの2試合でチームの優勝、CS進出が決まるような状況になれば、佐々木朗の一軍登板は重要な意味を持ちます。好投すればそれこそ救世主にもなるでしょう。ただ、その筋書きになる確率は非常に低い。実際、首脳陣もそこまでチームへの貢献を期待していないはずですから。まずは重圧のかからない試合で投げさせて、体の状態が良ければその後のプレーオフで、という公算が本音でしょう」(ロッテ関係者)

 チームへの貢献より、まずは無難に一軍デビュー。救世主としての活躍はその後になりそうだ。