〝サメ男〟は生き残れるか。首位を独走する巨人は11日の中日戦(ナゴヤドーム)に0―7と完敗した。優勝マジック12に変動はなかったが、残り25試合でリーグ連覇をほぼ確実としている中で来季に向けたサバイバルも終盤に突入。今オフは最大14選手のリストラが予定され、新助っ人ヘラルド・パーラ外野手(33)も正念場を迎えている。

 投打に精彩を欠いた。先発・戸郷は6回2失点と粘ったが、打線の援護を得られずに5敗目(8勝)。8回には藤岡と古川の救援陣が5点を献上し、大差負けを喫した。

 そんな中で、いまいち波に乗り切れないのがパーラだ。米大リーグで2度のゴールドグラブ賞に輝いた堅実な守備と、通算1312安打の実績を引っさげて今季から巨人に加入。当初は主砲・岡本の直後を打つ5番に期待されたが、安定した成績を残せず、首脳陣も試行錯誤を続けてきた。

 どの打順ならパーラがハマるのか…。8月2日には来日初の1番で起用してみたが、4タコとサッパリ。原監督も「全く機能しなかったね…。1番は嫌いなのかもしれないね」と苦笑いするしかなかった。

 8月中旬に発症した右ヒザの違和感から今月8日に本格復帰すると、10日は今季2度目の8番でマルチ安打。しかし、下位での起用には指揮官も以前に「外国人が7、8番を打つのは果たして正常なのか」と疑問を呈していた。パーラに本来求められるのは中軸の脇を固める役割だが、4番と9番以外の全打順で試しても明確な答えを見いだせないままシーズン終了が近づいている。

 加えて若手の急成長も著しい。筆頭は育成出身の4年目・松原聖弥外野手(25)だ。パンチ力もある粘り強い打撃に俊足と鉄砲肩で頭角を現し、すっかり「2番・右翼」に定着。その突き上げを食らった形でパーラは本職の右翼を追われ、左翼での出場を余儀なくされている状態だ。

 この日のパーラは「7番・左翼」でスタメン出場。2回にはシエラの打球を好捕し、改めて守備力の高さを示した。ただ攻撃面では存在感を示せず、2打席とも凡退。2点差を追い、相手投手が左腕の福に代わった7回先頭の場面で代打を送られた。

 試合後、原監督は「ああいうところでピンチヒッターを出されるというところは否定できない」とピシャリ。3年目の若林への交代劇は、指揮官から確固たる信頼を得られていない何よりの証しだろう。

 球団は最大14選手を戦力外か育成契約にする方針。新型コロナ禍の影響で新たな助っ人探しは難航することが見込まれることから、例年よりも助っ人勢に対するハードルは低くなりそうだが、戦力の見極めは継続して行われている。

 今季のパーラは47試合で打率2割6分7厘、4本塁打、13打点と物足りない数字が並び、得点圏は1割8分2厘と低い。この成績が推定年俸1億6500万円に見合っているのか…。チームは首位独走でも〝サメ男〟は踏ん張りどころだ。