苦境をはね返すことはできるか。広島・小園海斗内野手(20)が11日のヤクルト戦(マツダ)で今季初昇格した。ベンチスタートながら出番が来たのは7―1の6回。一死一塁の場面に代打で登場すると、風張のフォークを打ち損じて投ゴロに倒れ、そのまま退いた。

 打席に入る際にファンから大拍手で迎えられたように、小園への期待度は若ゴイの中でも群を抜いている。ただ、取り巻く情勢は厳しい。彗星のごとく現れ、積極的に起用をされたルーキーイヤーの昨季から一転、今年は田中広輔内野手(31)との遊撃争いに敗れて開幕一軍を逃すと、走攻守における土台作りのため、ファームでの鍛錬の日々となった。

 何とかウエスタン・リーグトップの打率2割8分4厘をマークして自力で這い上がってきたが、今度は間が悪かった。遊撃のライバル・田中広を筆頭に打撃不振で苦しんでいた内野の主力野手たちがここにきて軒並み復調傾向。主に三塁を守る堂林も一時は2割7分9厘まで落ち込んでいた打率が最近9試合で2割9分4厘まで回復した。そのため昇格したはいいが、小園に出場する〝隙〟がまったくないのだ。チーム関係者も「内野手みんなが打てなかった2週間くらい前までなら全然チャンスがあったのに。もう少し昇格が早ければ…」と口にする。

 佐々岡真司監督(53)は「これからはスタメンもあり得る。まずは代打など出たところでガムシャラなプレーを見せてほしい」と言うが、当面は田中広や菊池涼介内野手(30)ら主力に休みを与える週1~2回が先発機会となる見込み。数少ないチャンスでアピールしたいところだが…。