勝率1厘差のゲーム差なしで迎えた2位ロッテとの首位攻防戦(ペイペイ)で、鷹の〝負けない男〟が価値ある投球を披露した。

 東浜巨投手(30)が8回3安打1失点で自身5試合連続の白星となる7勝目。本拠地で宿敵に屈辱の6連敗中だったチームの首位陥落危機を救った。「今日は負けられない試合と思って、マウンドに上がった」と満足そうに微笑んだ。

 2回と4回に先頭に四球。それでも自分で蒔いた種は自分で刈り取るとばかりに併殺で切り抜けチームの士気を高めた。

 8回二死、この日最後の105球目でこの試合8つ目の三振を空振りで奪うと、珍しく感情をむき出しに吠えた。

 ベンチに引き上げる右腕を真っ先に飛び出して先頭で迎えたのはDHで出場の柳田。鷹の支柱が右拳を突き出しながら大きくうなずく姿に「我欲を出さないように、チームの勝ちが最優先」という東浜に対するチームの敬意が代弁されていた。

 打線は東浜の力投に応えるように2回に松田宣の先制打と栗原の14号2ランで3点を先制。3回には柳田の適時打でさらにリードを広げると、7回にはグラシアルの9号ソロが飛び出し試合を決めた。

 東浜はこれで8月7日に黒星がついてから負け知らずで、1人で貯金6つを稼いでいる。苦手の対ロッテ戦も東浜に限っては今季4戦して2勝0敗。今月末と来月頭に2カード残っている宿敵との3連戦は週の前半だが、工藤監督は東浜をぶつける先発ローテ再編も視野に入れている。

「緊張感を良い意味で楽しめている」という東浜。シ烈なV争いの中、主役候補に躍り出た。