集団感染に見舞われたロッテが、7日のオリックス戦(ZOZOマリン)に4―1で勝ち、メンバー大量入れ替え後の初勝利を挙げた。初回に井上晴哉内野手(31)が右翼席に放った13号3ランが決勝打となった。首位のソフトバンクが敗れたため、その差は1ゲームに縮まった。15年ぶりのリーグ優勝を果たすには想定外の危機を全員野球で乗り越えるしかないのだが、チーム内では「自分も離脱するのでは」との不安が広がっている――。

 大幅戦力ダウン後はこれで1勝1敗。井口監督は「今日の勝ちは大きい。また明日勝てるように、しっかり勝てるようにやっていきたい」と胸をなで下ろしたが、チーム内ではまだまだ予断の許さない状況が続いている。

 この日の試合前には、新たに岡大海外野手(29)と一軍スタッフ2人が保健所から濃厚接触者に追加特定されたことを発表。岡は2日の移動の際に、すでに陽性が判明している岩下大輝投手(24)と交通機関の座席が近かったことから特定された。一軍スタッフ2人も1日の移動の際に陽性が判明していたスタッフとの座席が近かったためという。

 3人は現時点で体調不良の兆候はないものの、これで選手8人、スタッフ4人、コーチ1人の計13人の新型コロナウイルス感染が判明。濃厚接触者も選手5人、スタッフ2人の計7人となったが、その一方でチーム内に広まり始めているのが「自分もチームから離脱するのではないか」という「見えない不安」だ。

 松本尚樹本部長が6日の会見で「感染経路はまったくわからない。ただ、今年コロナの中でウチ(ロッテ)は手洗い、マスク、消毒等の対策を徹底してきた」と困惑したように思い当たる節がないのだから無理もない。

 ある他球団関係者がこう漏らす。

「球団の感染対策は万全でも、これだけ大勢の感染者や濃厚接触者が出てますからね。ロッテの関係者はみな自分の身が不安なようです。前回のPCR検査では陰性でも、また一人陽性が出たら再検査や濃厚接触者に特定される恐れもある、と。しかも現場は今も選手を中心にグラウンド内でマスクをしないし、試合は続くので感染リスクが高い。選手、関係者は家族を含め『明日は我が身』と疑心暗鬼になっているようです。そういう雰囲気が試合に影響しなければいいのですが」

 今回、感染した選手、関係者の大半は無症状だったため、いつどこで誰が感染するかがいまだに読めないのも事実。関係者が不安に襲われるのも無理はない。

 当面、見えない敵とも戦い続けなければならないロッテ。コロナ余波を食い止め、栄冠をつかむことはできるのか。