【平岡洋二 連載コラム】一番効果的な体幹トレはウエートトレーニング

2020年10月08日 11時00分

TシャツでSTRONGトレーニングの重要性を説明する現地の専門家

【平岡洋二「アスリートの解体書」(32)】「走るのが一番速かった時は…」と話し始めて続いて出た言葉は何と「体重が一番重かった時」。2015年11月、タイガースの秋季キャンプでの金本知憲監督の発言だ。トレーニング指導で招かれた私が、ウエートトレーニングの必要性をキャンプ参加全選手・スタッフの前でレクチャーし終えた後の参加者にとっては驚きのひと言だったに違いない。裏付けはある。何度も触れてきたが、脚筋力の「体重比」が一番高かった時期に重なるのだ。選手本人の感覚と客観的数値の一致。

 この連載も今日明日の2回を残すのみ。他にもどうしても触れたかったことがある。「体幹」トレーニング一辺倒の風潮に対して。その効果を一方的に否定するものではないが、一世を風靡した「バランストレーニング」を思い出してしまう。ネコもしゃくしもバランスボールなるビニール樹脂製のボールに座ったり、大道芸のごとく立ち上がったり。何か効果を得ましたか? この連載22でも紹介した昨年の米国研修のUSC(南カリフォルニア大学)での研修内容をもう少し詳しくお伝えしておきたい。

 スポーツトレーニング・コンディショニング・リハビリなどの科学的な取り組みの先進国は何といっても米国だろう。ビジネスとしてのスポーツが発展する中で必然的に進歩していった。中でも象徴的競技はアメリカンフットボールだ。米国で揺るぎないナンバーワン人気の競技NFL。コンタクトスポーツであることがそれらの科学的な取り組みをより発展させることになったに違いない。よりパワーを、より速く、より丈夫に、より回復を要求され続けることになった。

 あるデータによると、2番人気はNBAで、3番人気はベースボールではなく何とカレッジフットボールらしい。だから名門大学フットボール部の監督の報酬が億単位、このUSCのヘッドコーチ(監督)は2億との話も…。確立された経済的基盤もあって専従で5人もいるストレングス担当の責任者の話をもう少し詳しく伝えると、添付の写真のように、スクワットなどで絶対的な筋力を高めてそれをベースにTシャツ上方向図のパワー・スピードへとつなげていく。PULL・PRESSも含めたSTRONGが重要なベースになると。冒頭の金本監督の一番速く走れたのはの話とリンクするのが理解いただけようか。

 次に問題の「体幹」トレーニングの位置付けについて。一番効果的な体幹=コアトレーニングはヘビーなウエートトレーニングだと担当のコンディショニングコーチは断言。筋力の弱い女子、子供には日本ではやりのいわゆる「体幹」トレーニングも有効だと。まとめると、STRONGが基本で枝葉・末節的な位置づけの「体幹」なり「バランス」なりのトレーニングもあるということ。それらはメイントレーニングにはなり得ないということを最後に強調しておきたい。

 ☆ひらおか・ようじ「トレーニングクラブ アスリート」代表。広島県尾道市出身。広島大学教育学部卒業後、広島県警に勤務。県警での体育指導を経験した後、退職しトレーニングの本場である米国で研修を積み、1989年広島市内に「トレーニングクラブ アスリート」を設立。金本知憲氏(前阪神監督)や新井貴浩氏(元広島)、丸佳浩(巨人)ら200人に及ぶプロ野球選手を始めJリーグ・サンフレッチェ広島やVリーグ・JTサンダーズ広島など数多くのトップアスリートを指導する。また社会人野球や大学野球、高校野球、ホッケー日本代表などアマチュア競技のトレーニング指導にも携わり選手育成に尽力。JOC強化スタッフ、フィットネスコーチなどを歴任した。実践的なトレーニング方法の普及のためトレーナーを養成する専門学校での講義なども行っている。ジムのHPは「athlete―gym.com」。