【平岡洋二 連載コラム】選手雇用支援に微力ながら協力しています

2020年10月07日 11時00分

新たな試みで地域の顔となった福山ローズファイターズ

【平岡洋二「アスリートの解体書」(31)】スポーツの持つ役割とは?と大上段に構えると難しいことになるが、見る・応援する娯楽としてのプロスポーツもあれば、競技として人間形成や教育的側面を担ったり、個々人の健康目的の生涯スポーツや本来的目的の遊びでもある。私の関わってきたスポーツは「アスリート」の屋号が示す通り、競技としてのスポーツだ。

 ごく一部のスポーツエリートには整備されたプロ組織や日本特有の企業チームとして活動の場が存在するが、その他のアスリートは大半が学校スポーツが終われば生活のために競技を諦めなければならないのが現状だ。また、プロはともかくとして企業チームに所属していても社業は腰掛け程度で競技を引退するとその企業を退職するという現実もある。加えて、ここ広島でも伝統のある社会人野球の企業チーム(三菱重工広島硬式野球部)の再編・廃部が伝えられている。

 そうした諸々の現状を鑑みて、興味深い取り組みを始めたチームがある。地元企業に働きかけて、まず雇用の受け皿を作り、スポーツ活動を支援する。選手は正規社員として希望の企業に就職し、終業後や休日に練習するというスタイル。NPO法人として雇用サポートセンターを組織して2016年4月に広島県福山市でスタートした「社会人硬式野球クラブチーム・福山ローズファイターズ」だ。現在は福山市の12社が選手雇用支援企業として選手を雇用している。また、「福山通運」「洋服の青山」「エフピコ」といった東証1部上場の同市を代表するような企業も「企業サポーター」や雇用支援企業として名を連ね、市民球団として「まちおこし」的役割で地域活性化も目指している。当然行政も大歓迎で支援している。

 今年4月にはU―15の中学生硬式野球もスタートさせており、地域のスポーツクラブとして他競技にも活動の輪を広げ、社会人・少年・女子のサッカーチームもスタートさせる構想がある。発起人で球団の橋本代表によると、同じく市民球団のカープ球団との連携(既に退団した選手を支援企業が雇用・指導者の派遣など)のもと、野球の専門教育を受ける環境を整備し、将来的にはプロ野球を目指すことも可能な競技力の強化にも力を入れ、高校生以降のU―22チームの設立をも構想しているようだ。

 また、行政や学校(小学校・中学・高校・大学)とも連携しながら、他競技を含め地域の総合スポーツクラブとして、人材雇用・地域振興・人材育成等の産・官・学一体となった日本全体でもこれまでにない取り組みを具体化しており要注目だ。私も発足時から微力ながらお手伝いさせてもらっている。

 ☆ひらおか・ようじ「トレーニングクラブ アスリート」代表。広島県尾道市出身。広島大学教育学部卒業後、広島県警に勤務。県警での体育指導を経験した後、退職しトレーニングの本場である米国で研修を積み、1989年広島市内に「トレーニングクラブ アスリート」を設立。金本知憲氏(前阪神監督)や新井貴浩氏(元広島)、丸佳浩(巨人)ら200人に及ぶプロ野球選手を始めJリーグ・サンフレッチェ広島やVリーグ・JTサンダーズ広島など数多くのトップアスリートを指導する。また社会人野球や大学野球、高校野球、ホッケー日本代表などアマチュア競技のトレーニング指導にも携わり選手育成に尽力。JOC強化スタッフ、フィットネスコーチなどを歴任した。実践的なトレーニング方法の普及のためトレーナーを養成する専門学校での講義なども行っている。ジムのHPは「athlete―gym.com」。