戦いの場はマウンドばかりではない。広島のドラフト1位・森下暢仁投手(23)が〝トーク力〟を問われている。

 新人王争いを繰り広げるルーキー右腕は3日のヤクルト戦(神宮)で7回無失点の好投を見せて7勝目をマーク。防御率2・43、投球回も92回2/3と数字を伸ばした。ライバルで8勝を挙げている巨人・戸郷が4日の阪神戦(甲子園)で3回途中1失点で降板したこともあり、いいアピールになった。

 ただ、タイトルを確かなものにするため、今後必要になってくるのが、お立ち台でのアピールだという。「『新人王を取りたい』という思いをもっと発信するためには、お立ち台で言うのが一番。数字や投球内容ではまったく負けていない。ファンに直接、ぶつけることで大きな盛り上がりにつながってほしい」(チーム関係者)

 記者投票によって選出される新人王は〝イメージ戦略〟も重要な要素。結果を出した上で、どれだけ熱望しているのかを外にアピールすることが浮動票の獲得につながる面もあるのは確かだ。

 取材の場では新人王への熱い思いを口にする森下だが、めぐり合わせもあってヒーローインタビューで外部に直接語りかけたことはまだない。8月21日の巨人戦で迎えた初の本拠地でのお立ち台後に「もっとしゃべれるようにしたいです」と反省していたようにトークがイケる方でもない。ただ、目標達成のためには〝舌戦〟を優位に進めることも必要になる。

「取りたいという気持ちなので一試合一試合、積み重ねていくしかない」という森下。ここまで文句なしの数字を出しているだけに〝ロビー活動〟でもライバルに差をつけて新人王奪取といきたいところだ。