絶対に与えてはいけない一発を浴びてしまった。巨人・桜井俊貴投手(26)が、5日の阪神戦(甲子園)に先発。まっさらなマウンドに立つのは8月2日以来。復活を期した登板だったが、本塁打王争いで岡本を1本差で追う4番・大山に、痛恨の24号弾を献上するなど、5回3失点で屈辱の降板となった。チームも1―6で敗れた。

 天を仰いだ。1―1で迎えた5回二死で糸井に四球。そして是が非でも抑えなければいけない大山を迎えた。カウント2ボールからの3球目、外角高めに入った143キロの直球をバックスクリーンへ。勝ち越し弾というだけでなく、岡本に〝待った〟をかける24号勝ち越し2ランを浴びた。

 桜井自身、先発枠を奪い取る唯一のチャンスだった。「先発で投げるチャンスをいただいたので、初回から全力投球をして勝ちたい」の意気込み通り、初回から150キロをマークするなど直球を主体に攻め続けた。

 宮本投手チーフコーチもそんな右腕の気持ちをくんだ。ゲーム序盤には球団を通じ「昨年優勝できたのは桜井の貢献度が大きく、彼の復活を求めている。今の状態で集中力を切らさずに投げ続けてほしい」とコメント。プロ4年目の昨季、プロ初勝利を含む8勝(6敗)を挙げブレークした苦労人の復調にかけたが、内容はともかく打たれた相手が悪すぎた。

 となると、主砲・岡本の〝勝ち越し弾〟を期待したいところだが、阪神先発左腕・高橋の前に3打席連続三振。試合も4回に坂本が放ったタイムリーの1点に抑えられた。

 巨人の優勝はほぼ確実。しかし、対する阪神は今後、大山の初戴冠を援護する起用となるに違いない。リーグ連覇への歩みだけでなく、岡本の初タイトルの行方にもがぜん注目が集まりそうだ。