これも進化の証か。巨人は4日の阪神戦(甲子園)に7―1で快勝。優勝マジックを2日連続で2つ減らし「17」とした。リーグ連覇に向けて順調に突き進む中で、心配されるのが前日3日に左手付近に死球を受け、途中交代した主砲・岡本和真内野手(24)の状態だ。2年前に骨折した悪夢もよぎったが、最悪の事態を回避。この致命傷を負わない技術の高さは「坂本級」と絶賛されている。


 着実にリーグ連覇が近づいている。2回の丸の先制18号ソロを号砲に、若手たちが大暴れ。ともにプロ4年目の吉川尚と松原の1、2番コンビで4打点を挙げ、9回には若林の2号2ランでダメ押しした。先発の戸郷がプロ最短の3回途中1失点で降板する誤算はあったが、2番手の大江が無死満塁のピンチを無失点でしのぐなど鉄壁のリレーで反撃を断ち切った。

 試合後の原監督も「すごいですね」と大江について切り出すと「1点、2点は覚悟したんですけどね。欲が出て、その次も投げてもらってね。大江が殊勲者だと思いますね」と絶賛した。

 そうした中で出場が危ぶまれた主砲・岡本は、周囲の心配をよそに「4番・三塁」でスタメンに名を連ね、第1打席は右翼フェンスギリギリの大飛球。3打席目には藤浪の156キロを右前へはじき返した。

 2年前、2018年9月14日のDeNA戦(横浜)では右手首に死球を受け、骨折をひた隠しにして強行出場した。厳しい内角攻めは4番の宿命ながら、今回の死球で大事に至らなかったのは成長の証でもあった。ライバル球団の関係者が言う。

「今年の岡本は、どんなに内角を攻められても避けるのがうまい。下半身の力がさらについたからこそできる業だと思うし、瞬時の判断力もますます上がってきている。ああいうことができるのは(巨人の)坂本ぐらいしかいないよ」

 今季4死球の岡本は、確かに俊敏な動きで腰を引いてユニホームをかする程度などにとどめている。故障に強い頑健な体に加え、選手生命に関わるような致命傷を負わないことも、長く4番を張り続けられる能力の一つだ。ちなみに天才的なバットコントロールで内角球をさばく坂本は、14年間で32死球。今季に至っては「0」だ。

 24本塁打、72打点で打撃2冠に君臨する岡本は、松井秀喜氏の7年連続(1996~2002年)以来となる3年連続30本塁打に手が届くところまで来た。初タイトルも夢ではない。