首位・巨人に9年連続負け越しが決定している阪神は、4日の試合でも1―7と完敗。全勝が優勝へ望みをつなぐ最低条件だった4連戦も3戦目にして勝ち越しすらなくなり、リーグVの完全消滅も時間の問題となってきた。

 矢野燿大監督(51)も腹をくくっているのか「何か言えることはないけど、目の前の試合を全力で行くしかない」とライバルとの実力差を認めた上で淡々と試合を振り返った。

 しかし、座して白旗を振ろうというわけではない。やられたらやり返す――そんな決意を胸に、指揮官は残り試合で大胆なチーム編成の改革も検討している。従来の起用法や選手個々の〝格〟を見直し、何がチームおよび選手にとってベストか再考するという。

 阪神は先月25日以降に相次いだ主力選手らの新型コロナウイルス集団感染により濃厚接触者も含め10人が戦線離脱中で、大幅な戦力ダウンを強いられている。そんな逆境にある今こそ「手の打ちどき」というわけだ。

 プロ入りから主に先発を務めてきた藤浪晋太郎投手(26)を中継ぎに配置転換したのも、その一環と言える。4日は2番手で6回から登板し、1回1/3で3失点と精彩を欠いたが、それまでの4試合では計5イニングを投げて1失点。自己最速160キロを連発し、復活の兆しを見せた。チーム事情に詳しい関係者はこう語る。

「結果的に藤浪はチームにインパクトをもたらしたが、そもそも(藤浪の中継ぎ起用は)考えた人はいても実現性においてはあり得なかった話。感染者(岩貞、馬場)や濃厚接触者(岩崎、小川、小林)の離脱がなければ選択肢にもなかった。それがああいう誰も予想しないことになって、本当になり振り構ってられなくなり、一時しのぎ…と思っての起用が、ああいう結果を生んだ」

 新型コロナ感染により大量離脱した一軍の面々には、感染に至った行動に規則違反があり、保健所がゴーサインを出しても即一軍復帰とはならない。だからこそ、もうしばらくは藤浪の中継ぎ起用のような大胆な手を打つことも可能。大変な状況に置かれている阪神だが、それは同時に「大きく変わる」チャンスでもある。