鷹のリードオフマン周東「波瀾万丈」で打撃開眼

2020年10月04日 20時29分

ソフトバンク・周東

 世界に誇る鷹の韋駄天がバットで大暴れだ。ソフトバンク・周東佑京内野手(24)が4日の日本ハム戦(ペイペイ)で今季1号を含む3安打3打点の活躍で、チームを勝利に導いた。

 相手の追撃を受けて1点差に迫られた6回だ。一死一、二塁で「後ろにつなぐ意識だった」と打席に入ると、東農大北海道オホーツク野球部の先輩・玉井の146キロ内角真っすぐを捉える。打球は低い弾道で右翼席に突き刺さると球場のボルテージは最高潮になった。

「ホームでは初ですね。ファンの声援が多くてすごいなと思いました」。プロ通算2本目は、待望の本拠地1号。自然と笑みがこぼれた。

 重たい空気を一変させる価値ある一発だった。周東が打席に向かう前、球場は異様な空気に包まれていた。無死一塁で初球バントの構えの8番川瀬が堀の投球を右胸付近に直撃される。身もだえるシーンに球場内は凍り付いた。

 幸い川瀬は一度ベンチ裏に治療のため下がるも、持ち味のガッツで戦列に復帰。しかし無死一、二塁で9番・真砂は初球送りバントを失敗。嫌な空気がベンチ、鷹党で埋まるスタンドに漂った。

 だが、周東は燃えていた。「僕はいつも先輩に失敗を助けられてばかりなので。しっかりカバーできるようにと思った」。しぼみかけた好機を逃さず、魂で振りぬいた。

 歓喜の中でホームベースを踏むと、目の前には満面とは言えない笑顔をつくる川瀬。周東は真っ先に人差し指を後輩に向け、そのガッツをたたえた。

 初回の中前打、8回の二塁内野安打と合わせ、今季4度目の猛打賞。先月10日時点で2割1分だった打率は、2割6分4厘まで急上昇した。

 この日が7試合連続のリードオフマン。「(以前は)打ちたい気持ちが強くて、振りもでかかった。今はとにかく塁に出ようと思っている」と1番起用もプラスとなった。
 出塁が増えれば自慢の“鬼足”を発動する機会も増える。この日、リーグ単独トップの30盗塁に到達。「もちろん狙っている」という盗塁王にも近づいている。

 内野の要・今宮の穴を必死に埋めるシーズン。ミスで悔し涙も流した。「波瀾万丈というか…」。濃密なシーズンを通して確かな成長曲線を描いている。

「一喜一憂せずにこれからも頑張ります」。鷹の韋駄天がシーズン佳境で強烈な存在感を放ち始めた。