【平岡洋二 連載コラム】広島大学の野球部を指導したら驚きの効果が!

2020年10月02日 11時00分

国立の広島大は政界、経済界などに多くの人材を輩出している

【平岡洋二「アスリートの解体書」(29)】今回の連載でこれまでの30年を超える「トレーニングクラブ・アスリート」の歴史を総括することになった。実に多くのアスリートに関わった。プロスポーツ選手だけでも正式に契約した選手に限ってもプロ野球を中心にJリーガーや競輪・競艇など200人は優に超える。チーム・団体となると日本代表チーム・社会人チーム・大学チーム・高校チーム総計50ほどだ。日の丸を背負ったチームなり社会人の日本リーグ優勝や大学選手権優勝で日本一になったりと幸運にもいい経験をさせてもらった。高校でも、関心の高い甲子園出場だけでも4校で10回以上で、日本一こそなかったがベスト4、8もあった。そんな中で最後に競技の難しさを痛感させられた例を書いてみたい。

 10年も前の地方の大学リーグ。全国的に見て決してレベルが高いリーグとは言えないが、特待生制度があり甲子園出場者もいる私立の5大学としのぎを削っている国立の広島大学硬式野球部の指導例。ほとんどが進学校出身者で野球名門校出身者はまずいない。他大学は春休み中には既に集合練習が当たり前の新入部員も、入学式後の勧誘がスタートで出揃うのは例年5月。監督もOBのボランティア。ハンディだらけは承知の上でスタートした。

 指導を始めたのは秋季リーグ終了後の11月から。冬季の3か月間はそれまでのやり方と一変してウエートトレーニング中心。アスリートとの往復(大学の施設では不十分)に3時間近くかかることもあり、週5回程度の練習のうち、少なくとも2~3回はトレーニングのみとなった。

 結果、野球の練習は例年の半分以下となったが筋力は20%弱のアップとなり、2011年度春季リーグ開幕を迎えた。

 2強の大学にそれぞれ1勝はするものの勝ち点は奪えず、リーグの順位は結果的に前年秋季と変わらず4位。だが、チーム打率は前季の2割4分9厘(5位)から5分2厘の大幅アップで断トツの3割1厘(1位)に。個人でも打撃成績で幸田直也が1位(4割5分9厘)、藤田真平が3位(4割2分1厘)、芝俊紀が8位(3割3分3厘)と上位を占めた。投手も朝重浩文が防御率2位(1・45)に入った。

 盗塁数もほぼ倍増するなど多面で飛躍的な「個」の力の向上は見られた。当時「効果がなかったんで」と契約更新に否定的だった監督に「野球の勉強をしろ!」と一喝したものだが、果たしてどう総括するのが正しかったのかと喉に引っ掛かった骨のごとく長年気にかかっていたが、当時のことは知らない後輩たちが昨秋から再びトレーニングに励んでいる。

 楽しみにしていた春季リーグはコロナ禍で中止となり、いまだに六大学で唯一大学の許可が下りず全体練習もままならないらしいが、秋季リーグに向け母校広島大学硬式野球部の健闘を祈る!!

 ☆ひらおか・ようじ「トレーニングクラブ アスリート」代表。広島県尾道市出身。広島大学教育学部卒業後、広島県警に勤務。県警での体育指導を経験した後、退職しトレーニングの本場である米国で研修を積み、1989年広島市内に「トレーニングクラブ アスリート」を設立。金本知憲氏(前阪神監督)や新井貴浩氏(元広島)、丸佳浩(巨人)ら200人に及ぶプロ野球選手を始めJリーグ・サンフレッチェ広島やVリーグ・JTサンダーズ広島など数多くのトップアスリートを指導する。また社会人野球や大学野球、高校野球、ホッケー日本代表などアマチュア競技のトレーニング指導にも携わり選手育成に尽力。JOC強化スタッフ、フィットネスコーチなどを歴任した。実践的なトレーニング方法の普及のためトレーナーを養成する専門学校での講義なども行っている。ジムのHPは「athlete―gym.com」。

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