鷹のエース・千賀が目指す〝壊れない、疲れない〟究極の投球術

2020年09月30日 06時15分

7勝目を挙げた千賀

 今季も力投が続いている。ソフトバンクのエース・千賀滉大投手(27)が、29日の楽天戦(楽天生命)に先発し、7回10奪三振1失点。チームを6―2の勝利に導き、自身3試合ぶりの7勝目を挙げた。昨季3000球を投げた右腕は、今季も同ペースで球数を重ねながら音を上げるどころか、調子を上げている。周囲の不安をよそに「強さ」を増している裏には、この日2年半ぶりに直接対決した楽天・則本昂大投手(29)の存在があった。

 132球を投げて、4試合連続で7回を投げ切った右腕は「最低限のことはできたが、先制点を取られる投球が続いているので今後も意識高く投げていきたい」と、エースの気概を示した。

 盟友・則本との直接対決は2018年4月6日以来。「普段から連絡を取りすぎているので、特別な感情はなかった」と笑ったように、かねて交流は深い。切磋琢磨するライバルであると同時に同志でもある。「僕らを慕ってくれる若い選手がいる。そういう人たちの将来のモデルだったり、ケガで苦しむことのない投げ方だったり、手本になれたらいい。自分がケガをせずに高いパフォーマンスを出すということも大事だけど、則本さんとは『後輩たちに残せるものがあるといいね』という考えで、お互い高め合っている」

 一昨年オフから、千賀は「日本人特有のヒジを使って投げようとする投げ方は負担が大きい。だから胴で回って、腕は後からついてくるような投げ方」と説明するフォームづくりに没頭してきた。その手本となったのが則本だった。LINEなどを通じて互いの投球動画や画像を送り合い、助言をもらった。「目指すところはどれだけ球数を放っても壊れない、疲れない、パフォーマンスが落ちない投げ方。それは今後数年先に完成形が見えてくるもの」。今も盟友と試行錯誤する中で、理想に近づいているのは間違いない。

 昨季、千賀の球数は3000球を超えた。当然のようにチーム内外で「投げすぎ」との声が上がり、今後への悪影響が懸念された。だが、その不安をかき消すように今季もここまで13試合で1524球を投じながら、状態を上げている。

 1試合平均117球は昨季の同118球とほぼ同じ。今年も143試合制なら3000球を超えるペースで投げ続けているが「肉体的な問題はない」と何食わぬ顔だ。もちろん、球数が多いことは褒められたことではない。パフォーマンス改善に取り組みながら、毎試合完投する心意気でマウンドに立ち続けている。

 盟友と高みを目指す千賀。鷹のエースにふさわしい心技体の「たくましさ」がついてきた。