今季からロッテに加入した美馬学投手(34)が8月以降、白星を量産している。8月11日の日本ハム戦で今季3勝目を挙げるまでは勝ち負けが一進一退だったが、そこから快進撃。27日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)も味方の大量援護に助けられ、5回7安打4失点ながら自身6連勝で8勝目を挙げた。

 降板後は「たくさん点を取ってもらったのに、中盤にかけて流れを悪くしてしまい申し訳ないです。長いイニングを投げなければいけない試合だったので、後ろのピッチャーにも申し訳ない」と反省の弁が続いたが、これで昨季の勝ち星に並んだばかりかリーグトップの楽天・涌井(9勝)に1差に迫り、チーム周辺からは早くも「涌井を抜いてタイトルを取れるのでは」との声まで上がり始めている。

 美馬のシーズン2桁勝利はプロ9年で11勝した2017年の1度だけ。ベテランとあってシーズン終盤には蓄積疲労が顔をのぞかせる可能性もある。実際、昨季は9月以降に投げた計4試合で1勝2敗。この間、6回を投げ切った試合が一度もないなど、初タイトル奪取までには不安が募る。

 それでも「今年はいける」と周囲から期待が高まる背景には、9月に電撃加入した中大時代の後輩・澤村拓一投手(32)の存在がある。

 周知のとおり、美馬は澤村より2学年上だが、在学中からともに切磋琢磨した間柄。プロ入り後もチームは違えど良好な関係を築いていた。そんなかわいい後輩が、シーズン途中からチームメートとなった。しかも加入直後から見事な火消し役を演じ、27日の試合を含め7試合連続無失点と文句ない好投を続けている。この澤村の〝奮投〟が今後シーズン終盤で疲れが出てくる先輩の背中を後押しする可能性が高いというのだ。

「美馬は平静を装っていますが、澤村の活躍に少なからず刺激を受けていますから。このままならシーズン終盤に調子を落とすどころか、最多勝のタイトルを本当に取りますよ」とチーム関係者は力強く言う。澤村効果は確実に美馬にも波及している。