逆襲開始だ。巨人・小林誠司捕手(31)が25日の中日戦(東京ドーム)で、開幕直後の故障離脱以来、96日ぶりに先発出場。調子の浮き沈みが激しい先発のサンチェスをリードし、どうにか6回途中4失点で5勝目をプレゼントした。いまや主戦捕手となった大城卓三捕手(27)、そして小林の戦列復帰でG捕手陣の勢力図も変容し始め、炭谷銀仁朗捕手(33)に逆風が吹き始めている。


 場内に小林の名前がアナウンスされると、G党からひと際大きな拍手がわき起こった。6月21日に受けた死球で左尺骨を骨折し、無念の長期離脱。先発復帰の舞台は17日の前回登板で5回までに6四死球を与え、5失点KOされたサンチェスとのバッテリーだった。

 操縦が難しい右腕をどう導くのか…。小林は球速を抑えさせ、制球を重視したかのようなリードを展開。それでも8安打を許したが、1四球にとどめて試合はつくった。チームは打線の奮起もあって8―4の逆転勝ちで5連勝を飾り、マジックを「26」に。7回に代打を送られた小林は「チームが勝つことができて良かったです。次は攻守でチームに貢献できるように準備したい」とまずは安堵感をにじませた。

 原監督は小林を起用した理由を「なかなか出番がないという状況だったので。2人でいいコンビを組んでくれたらな」とし「一体感を持ってバッテリーは戦ってくれているというふうに見えました」と及第点も与えた。

 ただ、ライバル球団からは「小林は一軍で3か月のブランクがある。この先の戦いを考えたら慣れさせておく必要があるんだろうけど、炭谷のブレーキも理由の一つでは」との声も聞かれた。

 今や大城は、原監督も「ウチの中心的なキャッチャーであることは間違いない」と認める主戦捕手に成長。エース菅野をはじめメルセデスや今村、田口の先発時でも4試合連続で先発マスクをかぶり〝テリトリー〟は大幅に拡大した。

 一方で、小林の復帰も加わり、ますます苦しい立場となってきたのが炭谷だ。開幕から4戦3敗だった畠とのバッテリーが解体され、20日のDeNA戦(横浜)は大城に奪われた。しかも、6回無失点の好投を引き出した大城には指揮官も「新鮮で良かったのかもね」と納得顔。また、8登板中5試合でコンビを組んだサンチェスとも結果は一進一退で、この日はついに小林の手に渡った。

 こうなると、炭谷の〝生命線〟は開幕から全12試合でコンビを組んできた2年目右腕・戸郷だが、前回は5回6失点でKOされるなど勢いに陰りも見え始めている。

 加えて打棒もなかなか上向かない。今季は38試合で打率1割8分5厘、1本塁打、6打点の低空飛行…。22日の一軍のナイター前にはロッテとの二軍戦(浦和)に出場した。ベテランにとっては心中穏やかではないだろう。

 古巣・西武で出場機会が激減し、2018年オフに「新しい環境で勝負したい」と巨人にFA移籍し、今季は3年契約2年目。経験は誰よりも豊富ではあるが、小林の復帰で競争がさらに激化しそうだ。