球界随一の巨大戦力によるシ烈なレギュラー争いで「常勝」の道を突き進んでいるソフトバンクが、今季もロッテ、楽天の追撃を受けながらも、3年ぶりのV奪回へ首位を走っている。今季はここまで、バレンティンが思うような結果を残せずに二軍暮らしが続いているが、さらなる戦力強化へ、今オフも他球団の大砲助っ人獲りに動くのだろうか。その動向が今から注目されている。


 かねてソフトバンクは、不測の事態や主力の故障離脱などに備え、戦力を厚く整えてきた。後藤球団社長以下、フロント陣は「365日、世界を含めたすべての市場をチェックしている」(三笠GM)と臨戦態勢を取り続けている。ちまたでは、コロナ禍で各球団が資金難に陥り選手獲得に及び腰になる、との声もささやかれるが、鷹に限っては〝守り〟の姿勢は一切ない。

「魅力的なチームをファンに届ける。強くなければ生まれない価値がある。絶対的な強さが経営的にも未来につながる」(フロント関係者)との考え方があり、魅力的な選手の獲得には今後も積極的に投資していく姿勢に変わりはない。2018年、後藤球団社長は本紙に「これから3年間、FA市場は魅力的なものになる」と明かし、同年オフに浅村(楽天)、西勇(阪神)の争奪戦に参戦。今年も山田哲(ヤクルト)ら人気銘柄が並ぶ中で鷹の動向が注目されている。

「戦力余り」を気にする球団ではないため、外国人補強にも積極的だ。現在、ホークスの助っ人野手にはキューバ代表の主軸を担うデスパイネとグラシアル、NPB通算297発のバレンティンが在籍している。3人とも高額契約で今季からの2年契約。他球団であれば、新たな助っ人砲の獲得は見送られてもおかしくないが、鷹は違う。

 開幕から調子を崩し二軍降格中のバレンティンが、来季もシーズンを通した活躍が望めない可能性もある。大陸予選が延期になっている五輪問題なども念頭にデスパイネやグラシアルも疲労蓄積や年齢的問題でこれまでと同じパフォーマンスを発揮できないかもしれない。実際に球団内から「今オフも強力な助っ人野手獲りに動く」との見方が上がっている。

 ソフトバンクは世界市場にも独自のパイプを持っているが、新型コロナ終息が確約されていない状況では、国内助っ人組の人気も高くなると見られる。今季すでに22本塁打をマークしてロッテ躍進を支えるマーティンや、昨季まで2年連続セ・リーグ本塁打王のソト(DeNA)らも補強対象になり得る存在だ。

 バレンティンの処遇で証明されているが、かねてホークスに「レギュラー保証」はなく、名のある助っ人でも競争を強いられる。デスパイネ、グラシアル、バレンティンがいても、ライバル球団が震えるさらなる大物を狙う――。