巨人・坂本勇人内野手(31)の「40発打法」復活か――。23日の広島戦(東京ドーム)では、16号ソロを含む3安打猛打賞で7―3での4連勝に貢献。チームの優勝マジックは28となった。今季ここまで苦しんできたGの主将は、節目の通算2000安打まで残り39本に迫る超回復ぶりを見せているが、その裏にはこだわりの「6パターン理論」があった。

 2点リードの3回、坂本は広島先発・野村の139キロの外角直球を逆方向の右翼スタンドに運んだ。16号ソロで突き放すと、初回の中前打、8回の二塁打と合わせ4打数3安打でセ単独6位となる通算160回目の猛打賞をマークした。

 カード初戦(21日)に続く2日ぶり2度目の猛打賞で打率も2割7分5厘まで回復。指揮官も「スイングも非常に鋭くなってきましたね」とうなずくと「コマ同士がぶつかったら、バーンってはじけるじゃない。ああいう感じでボールに対してバットが出ている」との表現で解説した。

 坂本は「今日は逆方向に速く強い打球を打てたというのは良かったです」と振り返るも、2000安打には「1つの目標ではありますし、打てればいいなと思いますけど、今年中に打ちたいとかあんまり個人的には思っていないので」と淡々。不調と復調を繰り返してきただけに、あくまで慎重だった。

 それでも周囲が「これでもう大丈夫」と完全復活を確信する理由は、独自の打撃理論と今のコンディションがかみ合ってきたからだという。昨季40本塁打を放ち、初のリーグMVPに輝いた主将はこれまで自身の打撃理論についてはほとんど明かしてこなかった。そんななか坂本を知る球団関係者は「彼は長嶋さんタイプ」と話す。

 どういうことか。
「坂本が説明してくれた打撃理論は『自分は常に打席で〝6種類〟を想定して待っている』というものだった。コースと球種によって組み合わせは数多くあるが、それを6パターンまで絞り込んで、あとは体の反応に任せているそうです」

「1点読み」ではないため、ボールが来るまでにスイング軌道の微調整が必要となる。頭と体の感覚が完全にアジャストした状態が、キャリアハイの40本塁打を記録した昨季の打撃だった。「天才的なカンでヒットを量産した長嶋さんに近い」と同関係者はうなった。

 ちなみに坂本が「自分とは違うタイプ」と語っていたのが同僚・丸だそうで「彼は丸のことを『相手投手の配球を研究して、来るボールを1種類に絞っている。自分とは違うタイプ』と話していた。丸は現役時代に相手投手を研究しつくした王さんタイプといえるでしょうね」(同関係者)。

 今季の坂本は開幕直前に新型コロナウイルスの陽性者となり入院。開幕こそ間に合ったものの思うような打撃ができず、8月には不振で「サカマル」が解体されるなど、自身の理論と体の反応がなかなか合わなかった。

「自分では良くなったと思っても、また翌日、打てなかったり」と苦しい胸の内を明かしていたが、それが9月は打率3割3分3厘、6本塁打、14打点とようやく合致した様子。天才バットマンに昨季並みの大爆発の予感がしてきた。