他球団と歩調を合わせる形で阪神も21日から、本拠地甲子園球場への観客参加人数制限を、従来の「5000人」から緩和。22日のDeNA戦には1万1307人が集結し、6―3の快勝劇に酔いしれた。

 だがここで一つ疑問が…。なぜ、阪神の設定した入場者数は他球団よりも少ないのだろうか。

 4万6000人が収容できる巨人の本拠地・東京ドームでは、上限の目安が1万9000人に設定され、3万2000人弱しか入らないヤクルトの本拠地・神宮球場ですら1万4500人だ。それなのに、12球団最大規模のマンモス球場・甲子園(4万4000人弱)は、「約1万人」。9月の主催試合の間は、これまで未発売だったアルプス席と内外野の未発売区画の追加販売のみにとどめ、観客間のソーシャルディスタンス確保を最優先した結果この観客数になったとのことだが、それにしても控えめな数字だ。

 これについて関係者は「阪神は3月に(一部選手らの新型コロナウイルス感染などで)球界を騒がせてしまった。それだけに、どの球団よりも感染予防策に万全を期す必要がある。今は(球場への)分散入場や時差退場などのノウハウを蓄積するための〝お試し期間〟」と、もうひとつの理由を説明する。阪神は?月から観客収容数を2万人程度へと大きく引き上げる予定にしており、現時点では徹底的な感染予防策の〝シミュレーション〟を練っているとのことだ。

 熱狂的な応援で知られる阪神ファンの存在も、悩みの種かもしれない。実際、22日の試合でも、大声でチャンステーマを熱唱したり、得点時にハイタッチを繰り返したりする姿が観客席のあちらこちらで見られた。球場スタッフも「対応に苦慮している」と苦しい心境を明かす。球界全体が徐々に日常を取り戻しつつある今だからこそ、油断は禁物だ。