鷹のエース・千賀が骨折させたオリ・太田に投じた「特別な14球」

2020年09月23日 06時15分

太田を二ゴロに打ち取った千賀

 ソフトバンクのエース・千賀滉大投手(27)が22日のオリックス戦(ペイペイ)で8回無四球1失点の好投を見せたが、打線の援護に恵まれず5敗目を喫した。相手エース・山本との対決とは別に、千賀にはもう一つ特別な戦いがあった。

 それはオリックスの2年目・太田椋内野手(19)との対戦だ。この日3番を託された太田と千賀には因縁がある。昨年3月8日の教育リーグ、千賀が与えた死球で太田が右手を骨折。翌日一軍デビューが濃厚だった太田を襲ったアクシデントに、千賀は世間から心ないバッシングも受けた。

 当時、千賀は「ファンの方の気持ちも分かります。ですが、僕も一生懸命に投げた結果でした。人にケガを負わせたのは野球人生で初めて。すごく落ち込んだ。太田君は次の日に一軍デビューもあったかもしれないと聞いていたし、すごくかわいそうなことをした…」と申し訳ない気持ちを募らせていた。

 入院した太田に直接の謝罪がかなわなかったため、オリックス関係者に詫びを入れ、自力で入院先を調べて救急箱も送った。

 この日、太田に投じた14球はどれも一級品だった。第1打席はオール158キロ以上の直球勝負で二ゴロ。第2打席はお化けフォークで空振り三振。第3打席は157キロの内角直球で見逃し三振を奪った。

「お父さん(オリックス打撃投手の太田暁氏)から『千賀、気にしないでくれ。次からも本気で勝負してやってくれ』と声を掛けていただいた。未来ある選手だと思うので、これから一軍で対戦する機会も多くなると思う。だから、その時はまた一生懸命投げるつもりです」。以前に語っていた言葉通りの14球だった。

 この日は勝てなかったが、エースとして恥じない姿を見せる中で、人知れず男気あふれる投球も見せていた千賀。パフォーマンスもさることながら、こういった振る舞いも鷹のエースらしい。