巨人は21日の広島戦(東京ドーム)で毎回の19安打を浴びせて10―3の逆転勝ちを収めた。

 初回に2点を先制されたが、打線がカープ投手陣をつるべ打ちにして圧勝。そんな中で大きな注目を集めていたのが、高卒2年目右腕・直江が3度目の先発登板でプロ初勝利をつかめるかどうかだった。結果は5回途中2失点で降板。4点をリードし、勝利投手の権利を得られるまで、あとアウト2つまで迫っていた。ただ、原辰徳監督が降板を命じた理由は明確だった。

「3番、4番を迎えるわけですし。ホームランを打たれているバッターも含めてね。4点差はまだまだ分からない」

 直江は5回一死走者なしから代打・正随にこの日初めての四球を与え、続く大盛への死球で一、二塁のピンチを招いた。次打者は初回に先制2ランを食らった田中広を迎える場面。さらに、その後に控える3番・長野、4番・鈴木誠の中軸まで回されれば、大量失点につながりかねない打順でもあった。だからこそ、早めの継投策に出たというわけだ。

 結果、ワンポイントで送り出した大江は田中広に四球を与えたものの、3番手の鍵谷が長野と鈴木誠を連続三振に仕留め、反撃ムードを断ち切った。

 最優先するべきはチームの勝利。指揮官は初勝利を逃した直江に「一つの勝利を挙げるのがどれだけ難しいか。私自身も思いましたし、彼もそれを思って、また精進してマウンドに上がるということで良いと思います」とのメッセージを送った。次回登板ではこの日の悔しさを糧に記念星を手にできるか――。