大逆転なるか――。巨人・小林誠司捕手(31)が18日のDeNA戦(横浜)から、およそ3か月ぶりに一軍復帰した。ただ、故障離脱の間に後輩の大城卓三捕手(27)が台頭。正捕手争いでは苦境に立たされ、先発マスクも保証された立場ではなくなったが、小林の持つ不思議な〝生命力〟には計り知れないパワーがある。

 試合は完敗だった。先発の戸郷がオースティンの3ランと梶谷のソロなどで5回6失点KO。坂本、岡本ら主力が戦列復帰した打線も3安打に封じられ、昨年8月以来となる2試合連続の零封負けとなった。

 とはいえ、2年目で7勝を挙げている戸郷も発展途上。試合後の原監督は「できたてホヤホヤのピッチャーであるし、順調に来ている」と責めることなく「相手チームは完全に敵と見なしながら戦っているわけだから、それを戸郷は上をいかないといけない」とさらなる成長を期待した。

 そのチームには久しぶりに背番号22の姿があった。小林は6月21日の阪神戦(東京ドーム)で死球を受け、左尺骨を骨折。長いリハビリ生活を経て、ようやく一軍の舞台にたどり着いた。さっそく代打で出場した8回は空振り三振に倒れたが、そのままマスクをかぶって1イニングを三者凡退に抑える好リード。指揮官も「やっぱり小林は非常にいいムードを持っていますよね」と帰還を喜んだ。

 もちろん大事な戦力だからこそ呼び戻されたのだが、チーム内の正捕手争いでは逆風にさらされている。中でも大城の台頭が目覚ましく、打率3割1分、自己最多の8本塁打で30打点。「打てる捕手」としてだけでなく守備の評価も上昇中だ。先発ローテでは今やエース・菅野の〝正妻〟となり、メルセデスや田口、今村とバッテリーを組んでいる。

 他のサンチェスや戸郷は主にベテランの炭谷が担当。小林につけ入る隙が見当たらないようにも映る。しかし、小林は窮地に追い込まれるほど蘇生する不思議なパワーを秘めており、これまで何度も競争に生き残ってきた。

 炭谷がFA加入した昨春もそう。首脳陣は菅野―小林の「スガコバ」を解体し、炭谷との新バッテリーを模索し続けたが、オープン戦での相性と結果がサッパリで、結果的に開幕からバッテリーを組んだのは小林だった。

 今年もキャンプから菅野―大城の「TOKAIバッテリー」を念頭に調整が進められたが、開幕直前に大城の新型コロナ感染が発覚。調整不足から開幕マスクをかぶったのは、やはり小林だった。もっとも腐らずにコツコツと努力し続けたからこそつかめたポジションであることは確かだが…。

 小林はこの日の試合前の円陣で声出し役を務め「皆さんのおかげで、また帰ってくることができました。この喜びを、またこの場所で爆発させていきたいと思います」などと決意表明した。アクシデントで後塵を拝したが、ここからどんな復活劇を見せるのか、注目される。