1000安打達成のソフトバンク・中村晃「なんでああいう人が死ななければいけないのか」

2020年09月18日 06時15分

17日の日本ハム戦で節目の1000安打を記録したソフトバンク・中村晃

 ソフトバンク・中村晃外野手(30)が17日の日本ハム戦(札幌ドーム)で通算1000安打を達成した。プロ野球308人目。9回無死一塁で放った三塁内野安打に「泥くさくて僕らしい」と振り返った。名門・帝京高時代に高校通算60本塁打を誇り、2007年高校生ドラフト3巡目指名を受けて入団。プロ13年目、出場983試合目で到達した。

 一昨年12月に自律神経失調症の症状を自覚。以後、プロ野球選手としては死活問題である安定した睡眠が望めない中で日々、一軍のグラウンドに立つための準備を尽くしてきた。「どうして自分が…」との思いは次第に「生かされ、野球ができる喜び」へと変わり、人生観にも変化があった。今季から選手会長に就任。前任者・柳田の計らいで一時は後輩の今宮に託されようとした任務を志願して引き受けた。今の自分を受け入れつつ、立場を理解して戦場に立っている。

 高卒入団でポジションを与えられた選手ではなかった。時間をかけて泥くさくつかみ取り、努力で居場所を守り続けてきたからこその「強さ」が、ハンディを乗り越える原動力となっている。だが、自分だけの力で現在地に立てたとは思っていない。地道な出世を後押ししてくれた人たちへの恩義は人一倍強い。

 恩人の一人が、16日に急逝した三軍コンディショニング担当だった川村隆史さん(享年55)。入団時から肉体強化の助言を受け「僕の体を大きくしてくれたのは川村さん。本当に指導あってこそ。いま戦えているのも、その指導のおかげです」と感謝する。

 突然の訃報に「福岡に帰ったら普通にいるんじゃないか」と現実を受け止めきれていない。「もっと話をしたかった。もっともっと生きてほしかった。本当になんでああいう人が死ななければいけないのか…。悔しいです」。この日の試合前の円陣の声出しで尊敬する柳田が「野球ができる喜びに感謝」という言葉を真顔で発した。「結果が出なかったりすることなんて、本当に小さいこと。命があるだけで可能性が広がっていく」と強く共鳴した。

 18歳の時に描いた青写真は2000安打。「通過点とは思っているが、よくやっている」。恩を忘れず、地道に泥くさく、歩みを進める。