ソフトバンクの川村隆史(かわむらたかし)三軍コンディショニング担当が16日、遠征先の神戸市内でくも膜下出血のため急逝した。55歳だった。

 川村さんは1992年に前身のダイエーにトレーナーとして入団。96年からは長らくコンディショニングコーチを務めた。明るい人柄で多くの選手、同僚から慕われる存在だった。

 一軍はこの日、札幌ドームでの日本ハム戦を戦った。朝の訃報を受けて、球団は首脳陣と限られたチーム関係者にのみ球場入り前の宿舎で伝達。ナインには試合後に伝えられた。

 ダイエー時代からの仲である工藤監督は試合後「年齢的にも近いだけに、彼の元気が僕の元気になっていた。こういう形でお別れすることになるのがつらい。今日は…試合がつらかった。何としても白星を届けたいという思いで、何としても今日は勝つぞと。白星を天国にいる川村君に届けるんだという思いでやっていた」と声を詰まらせた。

 鮮やかな逆転勝ちを収めた後、緊急で開かれたミーティングで選手らは三笠GMから訃報を伝えられた。この時の様子を指揮官は「みんな世話になっている人たちばかり。心の傷もあるだろうし、涙する人間も多かった」と明かした。

 悲しみに包まれた様子に、関係者の間からは「川村さんは一軍のコーチも務められていたし、最近はファームの方にもいらっしゃった。だから、ベテランから若い選手までみんなお世話になっていて、それぞれが近い存在だった。そういう関係性もあって、もし試合前に伝えられていたら、とてもじゃないが、今日の試合は戦えなかったと思う」との声があった。

「天国から川村君もしっかり見てくれていたと思う。力をくれたことが今日の勝利につながった」(工藤監督)。特別な存在だっただけに選手の精神的なショックは計り知れない。ただ「チームに関わる全員に、期するものが生まれたのは確か」(チーム関係者)だ。