【平岡洋二 連載コラム】全米一のスポーツ大学は圧巻だった

2020年09月17日 11時00分

奥まで続くUSCのダンベルラックに仰天

【平岡洋二「アスリートの解体書」(22)】もちろん、ロサンゼルス研修の第一の目的はトレーニング関係だ。近年の定番コースはUSC(南カリフォルニア大学)での研修だ。

 このUSCは毎回オリンピックで金メダリスト(オリンピックのメダル総数は日本全体よりも多い)を誕生させている唯一の大学としても知られ、最多優勝数のフットボールなど全米一のスポーツ実績を誇り、メジャーリーグのホームラン記録保持者のマーク・マグワイアや映画監督のジョージ・ルーカス、宇宙飛行士のニール・アームストロング船長などスポーツだけでなく多方面の卒業生を輩出してきた西海岸最古の名門私立大学だ。

 近年新設されたトレーニング施設の建築費は70億円。規模は圧巻のひと言。人工芝のサブグラウンド、体育館規模のトレーニングルーム、さらにはトレーナールーム。中央にズラリと並んだ左右でスクワットやベンチプレスなど同時に可能なダブルパワーラックが11台ずつ2列、何と計22台。そして、壁側の両サイドに200組はあるだろうか、それぞれ90キロまで揃ったダンベルラック。その他各種マシン類。過去様々な全米の施設を見て回ったが「GOLD’S GYM」などの商業施設とは違いアスリートトレーニングの機能性では間違いなく最高規模、さすがに全米一のスポーツ大学。まさしく米国…驚嘆、圧倒させられた。

 ストレングスコーチから専門的な説明もしてもらったが、簡単に言うとマシンではなくバーベルやダンベルを使ったフリーウエートのトレーニングが重要とのこと。基本的に我が「アスリート」でのトレーニングと同じ方向性だったが、大いに参考になる内容であった。そして昨年、訪問は5度目だが、正式に講習依頼。早朝7時ごろ到着で大学を後にしたのが夕方5時近くであったから、滞在は10時間にも及んだ。

 フットボール部・女子バレーボール部・女子サッカー部・野球部等の実際のトレーニング見学から始まり、各部担当のコーチによる具体的な説明や実技指導、スポーツ栄養に至るまで実に豊富な内容であった。もちろんわずかな時間でなおかつ通訳を通しての説明であったので十分とは言えないが、全米トップクラスの組織が目指している方向性を感じ取ることはできたと思う。

 中でも驚いたのは名門フットボール部の体制。ストレングス&コンディショニング担当者が専任で5人もいるという事実。監督の報酬が億単位であること、施設・体制を含めた練習環境全てが日本で言えばプロ野球並みと言えるのではないだろうか。

 公式戦をすれば数万人、多い時には10万人の観客を集めるビッグビジネス組織という言い方もできよう。

 ☆ひらおか・ようじ「トレーニングクラブ アスリート」代表。広島県尾道市出身。広島大学教育学部卒業後、広島県警に勤務。県警での体育指導を経験した後、退職しトレーニングの本場である米国で研修を積み、1989年広島市内に「トレーニングクラブ アスリート」を設立。金本知憲氏(前阪神監督)や新井貴浩氏(元広島)、丸佳浩(巨人)ら200人に及ぶプロ野球選手を始めJリーグ・サンフレッチェ広島やVリーグ・JTサンダーズ広島など数多くのトップアスリートを指導する。また社会人野球や大学野球、高校野球、ホッケー日本代表などアマチュア競技のトレーニング指導にも携わり選手育成に尽力。JOC強化スタッフ、フィットネスコーチなどを歴任した。実践的なトレーニング方法の普及のためトレーナーを養成する専門学校での講義なども行っている。ジムのHPは「athlete―gym.com」。

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