【平岡洋二 連載コラム】バルサから学んだ「スポーツは市民のためのある」という考え方

2020年09月15日 11時00分

筆者がカンプノウの客席から撮影したFCバルセロナの試合

【平岡洋二「アスリートの解体書」(20)】今回からは海外視察について述べてみたい。まずはサッカーついでに去年・今年のヨーロッパ訪問(スペイン&英国)について。

 米国や日本のように学校体育がスポーツのベースとは異なり社会体育(スポーツクラブ)が発展しており、その中心的役割を成すのがプロサッカークラブ。すでに述べたFC・バイエルン・ミュンヘンもビッグクラブとして有名だが、今回訪問したのは、現在世界ナンバーワンとも言われ、Jリーグが見習うべきソシオ制度などでも話題となっているFCバルセロナ。試合観戦ならびに施設見学は非常に興味深いものとなった。

 10万人収容のスタジアム(カンプノウ)での世界最高峰のリーガ・エスパニョーラと呼称するプロリーグの公式戦を観戦。現在世界最高の現役選手だとC・ロナウドと並び称されるメッシのスーパープレーやリーグ断トツの首位を走るチームのすごさ、満員の熱狂的なサポーターの応援も肌で感じることができた。

 また、翌日にはそのチームの歴史や世界一に至る経緯の一端をスタジアムツアーでさらに学び、カンプノウ周辺に点在する室内競技場・人工芝のサッカー場やフットサル場などのスポーツクラブFCバルセロナの施設を見て回った。

 お手本にしたいと、Jリーグの一部にはそうした動きもあるらしいが、100年以上の歴史があるこのFCバルセロナにはサッカーを筆頭にフットサル、バスケットボール、ローラーホッケー、さらには試合観戦が実現できたハンドボールチームがプロチームとして存在する。アマチュア部門ではホッケーや野球などもある総合スポーツクラブ。スポーツは市民のためにあるという考え方が浸透している。

 ちなみに、私は日本リーグの社会人ハンドボールチームの指導経験もあり、そのチームの元選手がFCバルセロナのハンドボールチームに在籍していた経緯もあるので公式戦を観戦。試合内容が盛り上がったこともあり、前夜のサッカー以上に感激した。20万人とも言われるソシオ(会員)が同じユニホーム、同じ応援歌で他競技の仲間を応援し、アマチュアの他競技や子供たちも同じクラブでスポーツをする。

 話題の久保建英が在籍していたのはこのFCバルセロナの下部組織のユースチーム(カンテラと呼ばれ、11ものカテゴリーに分かれている)だ。前述したドイツのクラブ組織やスポーツシューレなども含め興味は尽きない。近い将来、日本のスポーツの進むべき道を垣間見た充実した経験であった。

 ☆ひらおか・ようじ「トレーニングクラブ アスリート」代表。広島県尾道市出身。広島大学教育学部卒業後、広島県警に勤務。県警での体育指導を経験した後、退職しトレーニングの本場である米国で研修を積み、1989年広島市内に「トレーニングクラブ アスリート」を設立。金本知憲氏(前阪神監督)や新井貴浩氏(元広島)、丸佳浩(巨人)ら200人に及ぶプロ野球選手を始めJリーグ・サンフレッチェ広島やVリーグ・JTサンダーズ広島など数多くのトップアスリートを指導する。また社会人野球や大学野球、高校野球、ホッケー日本代表などアマチュア競技のトレーニング指導にも携わり選手育成に尽力。JOC強化スタッフ、フィットネスコーチなどを歴任した。実践的なトレーニング方法の普及のためトレーナーを養成する専門学校での講義なども行っている。ジムのHPは「athlete―gym.com」。

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