中日・福谷浩司投手(29)が飛躍的なメンタルの強化に成功した。10日の巨人戦(ナゴヤドーム)に先発し、8回6安打2失点で降板し、勝ち負けはつかなかったが納得顔だった。

 立ち上がりから抜群で、初回に先頭・坂本が前日から続く4打席連続本塁打のプロ野球タイ記録を狙っていたが、ここを見逃し三振に仕留めると、3回までパーフェクト投球。ところが、プロ初完封勝利も見えてきた1点リードの8回、吉川尚に痛恨の2点適時三塁打を浴びて逆転を許した。

 それでも後続を抑えて自己最長となる8回を投げ切り「できることは出せたかなと思う。しっかり受け止められる内容だった。前回途中で降板ということが自分の中でもあったし、8回完了まで行けたというのは一つ大きな収穫だった」と冷静に自己評価した。

 前回3日の広島戦では完封にあと4人までこぎつけながら脚がつったような状態となり、首脳陣から降板を命じられて悔し涙を流した。しかし、この日も完封を6回ぐらいに意識していたというが、8回の逆転打にも「ゲームとして動きを与えてしまったのはショックでしたけど、うまく打たれたなというのが率直な感覚で、3点目4点目をやらないように意識はしていた。もちろん、完封、完投はしたいけど、今日はその流れに応じて変わってしまうことはあると思っていたので、あまりこだわりはなかったです」とケロリ。

 この1週間はメンタル面強化のスキルアップとして「目からウロコのコーチング」という本を読んだり、脚がつらない対策として「水分とか試合中に補給するエネルギーとかミネラルとかは増やしましたし、トレーニングとか、投げ方、投げるイメージも少しずつ変えてはいる。今日はそれが8回まで行けたので、より長いイニングを投げられるように努力したい」と超ポジティブに捉えている。

 与田監督は「本当に8回2失点、合格点です。ジャイアンツもしぶとい打撃をしてきましたけど、本当によく耐えたと思います」と目を細めた。福谷の次回登板でのプロ初の完投完封に、期待は高まるばかりだ。