戦力補強というだけでなく、チームへの波及効果も大きかった。巨人からトレード移籍した当日の8日に日本ハム戦(ZOZOマリン)で、3者連続三振という華々しいデビューを飾ったロッテ・澤村拓一投手(32)のことだ。

 制球難を不安視されていた右腕が即座に結果を残したことで、チーム首脳陣は早くも「勝ちパターンの中継ぎの一人」として高い期待を寄せている。〝澤村効果〟は救援陣の強化だけにとどまらず、電撃加入により今季にかけるロッテの「本気度」がチーム内に伝播。関係者は、選手の目の色が明らかに変わってきたと言い、こう続けた。

「澤村が入るまでは、チームが首位争いをしていても、選手の中には『今は踏ん張っているけど、シーズン最後までは持たないのでは』という漠然とした不安が少なからずあった。でも、今回のトレードで『今年は絶対にリーグ優勝する』という球団の意気込みというか空気が現場にまで伝わってきたし、チームの注目度もこれまで以上に高まってきた。こういう雰囲気は今後の戦いにいい影響を与えるでしょうね」

 確かに澤村入団前のロッテはチーム一丸で奮闘するも荻野、福田秀、種市ら期待の主力が故障で離脱。頼みの助っ人勢も7月に中継ぎのジャクソンが大麻リキッド所持容疑で自主退団。主砲レアードも8月中旬に腰の治療のため帰国するなどマイナス要因ばかりが目立った。この状況では球団フロントや首脳陣がいくら声高に「優勝」と叫んだところで選手の士気は上がらない。その意味で、今回のトレードは単純な戦力強化以上にチーム全体に波及効果を与えた「補強」とも言える。

 8月の月間MVPに輝いたエース・石川歩投手(32)も9日の会見で昨今のチームについて「投手は粘っていれば逆転してくれる。後ろの投手もいいので。雰囲気はいいと思う」と手応えを口にした。ここ3試合で15打席連続無安打と精彩を欠いていた井上晴哉内野手(31)も中大の1学年先輩の加入で刺激を受けたのか9日の日本ハム戦で2安打。今季2度目の6連勝に貢献した。

 澤村の加入でロッテは以前にもまして歯車がかみ合いつつある。悲願のリーグVへ抜かりはなさそうだ。