完全復活の足音が聞こえてきた。ソフトバンク・千賀滉大投手(27)が8日の楽天戦(楽天生命)で会心の投球。今季6勝目を挙げてチームの連敗を3で止めた。

 立ち上がりからエンジン全開だった。初回、岡島、田中、浅村を3者連続三振。奪三振ショーが幕を開けた。最速159キロをマークした直球にフォークも冴え渡った。8回を投げて3安打無失点。今季最多の13奪三振の快投だった。「今年初めて自分のボールが放れたんじゃないかな」。納得の投球に思わず笑みがこぼれた。

 故障で開幕に出遅れ7月7日に一軍復帰。しかし、迷いの中での投球が続いていた。投球フォームにズレが生じてイメージ通りにいかない。前回1日のオリックス戦(京セラ)では、6回に突如として連続でストレートの四球を与えるなど四苦八苦。制球が定まらなくなり7回途中4失点でKOされた。

 工藤監督は同じ投手として理解を示しつつも「マウンドでは悩んでも変わらない。試合になったら打者と勝負してほしい」と猛ハッパをかけたことも。この日の登板前には「エースというのはチームを代表する投手。若い投手の目標でもある。マウンドの上では、どんなに抑えても打たれても、ああいう姿が大事だなと思ってくれる投手になってほしい。いい姿を見せてほしい」とエールを送っていた。

 そんな指揮官の言葉に応えるかのような快投。どのような厳しい状況にも動じなかった。7回に迎えた二死満塁の最大のピンチも銀次を155キロの直球で見逃し三振に抑えるとバックスクリーンに向けてほえた。

 エースが無失点で抑えての快勝。2位ロッテが0・5ゲーム差で迫る中で大きな1勝となった。