巨人〝澤村放出〟は最後の温情 ロッテの決断に感謝の声

2020年09月08日 05時15分

〝放出〟が決まった澤村

 さらば剛腕――。巨人・澤村拓一投手(32)が香月一也内野手(24)との交換トレードでロッテに移籍することが7日に決定した。両者の年俸格差は約25倍、実績のある生え抜きドラ1の放出劇は球界に大きな衝撃を与えた。背景には原辰徳監督(62)が見せた「最後の親心」だけではなく、澤村再生の〝断念〟、親会社と球団が抱える特別な感情も渦巻いていた。

 かつてのセーブ王が伝統球団を去る。パンチ力のある左打者を補強したい巨人と、ブルペン強化を図るロッテの思惑が一致し、今季推定年俸1億5400万円の澤村と650万円の香月の格差トレードが実現した。

 澤村の放出を決めた原監督は7日の阪神戦(甲子園)前に報道対応し「澤村という選手は非常に思い出深い、素晴らしい選手でした。たぶん今まで選手、コーチ、教え子という立場の中で一番話をした人かもしれないね。笑ったり、時には涙を流したりね」と振り返りつつ、電話で「(今回のトレードを)ステップアップの材料にすることが正しいことであろうと。同じ野球界にいるという部分において俺は味方だと。応援しているぜ」と直接激励したことも明かした。

 指揮官の言葉からにじみ出たのは澤村への親心。「(ロッテ側に)求められたというところが、彼にとって素晴らしいことですから」と語ったように、チームが変わっても野球ができなくなるわけではない。ただ、チーム事情としては剛腕の再生に万策尽きたのも現実だった。

 どんなに剛速球を投げても課題の制球難を克服できず、今季は首脳陣も大量リードや敗戦処理などあらゆる可能性を模索した。しかし、結局はどのピースにもハマらず、正解は見つからなかった。原監督が試合中のベンチで叱責しても改善されず、7月下旬には二軍再調整を決断。澤村のもう一人の師匠である阿部二軍監督の下でも結果を出せず、一時の三軍降格も特効薬とならなかった。球団内では「もうトレードに出して環境を変えるしかないのではないか」との〝限界説〟も根強かった。

 一方、グラウンド外で何度も繰り返された澤村の問題行動に、チームメートだけでなく、読売上層部や球団の心証を悪化させていたのも確か。過去には六本木で暴行事件を起こし、昨年4月にも飲酒絡みのトラブルを起こした。すでに当時でも「もう累積でアウトでしょ」(球団関係者)と吐き捨てられる始末で、首の皮一枚つながっているような状況だった。

 そんな中での電撃トレード。球界関係者は「これまでにも澤村のトレードは何度も取り沙汰されたが、制球難と素行面がネックだった。ロッテも井口監督も思い切った決断をしたと思う。巨人からすれば、受け入れてくれたロッテに感謝ではないか?」と語った。

 剛腕復活へ、あらゆる手を尽くし、放出という最後の〝チャンス〟を用意してもらった澤村。球団を通じて巨人への感謝を述べつつ「マリーンズに移籍しても、成長し、元気な姿を1人でも多くの方に届けられるよう頑張っていきます。9年半、本当にありがとうございました」とコメントした。果たして新天地で剛腕は輝きを取り戻せるのか、注目だ。