藤川球児も「教育された」打倒巨人のプライド 阪神逆転Vの鍵は〝伝統の一戦〟にあり

2020年09月05日 05時15分

阪神に火をつけるのはいつだって巨人だ

 阪神が首位・巨人との4連戦初戦を5―4でもぎ取り、矢野燿大監督(51)は「選手たちの気持ちが伝わってきた」と、安堵の表情で試合を振り返った。

 対戦成績はこれで3勝8敗。現在2位とはいえまだ6・5差もあるが、首位との直接対決は、逆転Vへの大きな鍵を握る。そんな雰囲気をさらに高めたのが、1日に今季限りでの引退を発表した藤川球児投手(40)だ。会見では「18歳で阪神に入団したとき(巨人にだけは負けないよう)教育されてきた。僕は阪神の先輩方から伝統を預かって、それをつながなきゃいけない」と改めて打倒・巨人への思いを吐露し、話題を呼んだ。

 今も昔も、虎戦士にとって巨人戦は特別。その独特な感覚は「ヨソも経験からしたからこそ、より分かる」と証言したのが、阪神以外にも所属した経験を持つ球団OBたち。その注目度の高さから、報酬や引退後にも影響が出るほど〝副産物〟は多岐にわたる。

 阪神入団からロッテを経て1998年に阪神に復帰、左の中継ぎで活躍した遠山奨志氏は、巨人・松井秀喜を抑え込む「ゴジラキラー」として、全国区の知名度を獲得した。同時期に先発陣の一角を担った川尻哲郎氏も「注目度が段違いで高い巨人戦はやはり燃えました。活躍すれば翌日のマスコミでの扱いも大きかった」と振り返る。

 南海→日本ハム→阪神と渡り歩いた柏原純一氏も「パ・リーグから阪神に行っただけでも勝利給は弾んでたのに、巨人戦はそこからさらに2割ぐらいは多くもらっていた」とか。引退後にも思わぬ形で「伝統の一戦」の恩恵に預かったという。

 柏原氏が野村監督の下で打撃コーチを務めた99年の巨人戦で、新庄が敬遠球をサヨナラ安打。それにより「新庄のサヨナラ打の直後は、俺の敬遠サヨナラ本塁打のことも、いろんなメディアの人たちにたくさん取り上げてもらった。あれだって『新庄が巨人戦で打った』からだろうしね」。日本ハム時代に敬遠球を本塁打した、いわば〝昔の話〟にも再度、スポットライトを当ててもらったというわけだ。

 今も昔も虎戦士にとって、伝統の一戦は自分を売り込む最高の舞台であることに変わりはない。OBたちも〝球児の遺言〟を体現する後輩たちが、シーズン後半戦で一人でも多く出現してくることを願っている。