首位ソフトバンクが2位・ロッテとの直接対決3連戦の初戦(4日、ペイペイドーム)に3―4で悔しい逆転負け。2・5ゲーム差に詰め寄られた。

 ここまで今年の鷹を支えてきた若手ブルペン陣が、苦手ロッテにのみ込まれた。2―1の6回二死二塁、2番手で登板した板東湧梧投手(24)は三ゴロでピンチを切り抜ける。しかし、イニングまたぎとなった7回に2本の安打などで一死一、三塁とピンチを招き、代打・菅野に同点右前打を浴びた。一死満塁で登板した4番手・泉圭輔投手(23)も止められず。中村奨に中前へはじき返され2点の勝ち越しを許した。

 それでも工藤監督が絶大な信頼を寄せる助っ人が、2試合連続の好投を見せた。一軍復帰2戦目となった助っ人左腕のマット・ムーア投手(31)は白星こそつかなかったが、6回途中1失点。3四球を与え「テンポの悪い投球になった」と本調子ではなかったが、最速152キロをマークした真っすぐは相変わらず威力十分だった。

 指揮官は開幕2カード目からの6連戦初戦をメジャー通算54勝左腕に託すことを、コロナ禍で延期中の早い段階で決めていた。それほど信頼を寄せるのは「野球に対する考えがいいなと。メジャーで勝つだけの知識と考えを持っている」。

 コミュニケーションを取る中でムーアの野球観に触れ、責任あるポジションを担う確かな実力があると確信した。「インロー、インハイ、アウトロー、アウトハイ。同じストレートでも〝4球種〟あると。低めと高めでは打者の感じ方が違う。打者心理を分かっているのか、そういう考えがいいなと思った」。実働29年、現役通算224勝の指揮官もうなる視点だった。

 チームは宿敵に勝てなかったが、待望の「先発の柱」が戻ってきたことは明るい。