西武・内海哲也投手(38)が2日のロッテ戦(ZOZOマリン)で5回を2安打無失点に抑え、巨人から移籍後初勝利を挙げた。

 両足をつっての降板となったことに「先発投手として次はこのようなことがないようにしたいです」と頭を下げたのが謙虚な左腕らしいが、猛打頼みのチームにあって5回シャットアウトは合格点だろう。2018年8月21日DeNA戦以来743日ぶりの勝利には、西武ファンのみならず、多くのG党からも祝福の声が上がった。

 2年前、内海が炭谷のFA巨人移籍に伴う人的補償に決まった日を思い出す。当時、巨人の某選手は「あんな大功労者を出していいはずがない」とひどく憤っていた。記者も「うん、そうだよなあ」と応じつつ、内心では「でも、内海にとっては最良の道なのでは」と感じていた。

 さらに4年さかのぼった2014年の2月。内海は記者にこう自分の未来予想図を語っていたからだ。「(菅野)智之は2年目ですが、本当にすごい投手です。球は速いし、コントロールも抜群。間違いなく今後のジャイアンツを背負っていく投手です。でも本音を言うと、僕も負けずに35歳ぐらいまではチームの第一線で活躍し続けたい。その後は後輩に道を譲りつつ、40歳までは投げていたいんですよね」

 菅野は今や古巣の大エースに成長した。内海は一軍戦力として投げ続けながら徐々に第一線を退き、後輩たちに道を譲った。そこまでは2014年の内海の予言通り。ただ最後のステップだけは、巨人に残っていればかなわなかった可能性が高い。西武に選ばれたからこそ、道が開けた。

「いつの日か、再びジャイアンツに戻ってきてくれることを期待しています」と話したのは、移籍当時の巨人社長。今年もセ・リーグを独走するG投手陣の礎を築いたのは内海だ。古巣は〝新たな道〟を用意し、手ぐすね引いて帰還を待っている。

 ただ内海にはもうしばらく、この日のように歯を食いしばって左腕を振り抜いてほしい。そして「40歳まで投げる」夢を実現してほしい。