勝てば勝つほど塩対応⁉ 巨人が1日のDeNA戦(東京ドーム)を3―2で9回サヨナラ勝ちを収めた。この日の先発は開幕10連勝がかかった菅野智之投手(30)だったが、1点リードの8回二死から2連続四球を与えたところで無念の降板。その後、同点とされ10勝目はお預けとなった。連勝記録は継続となったが、気になるのがコンビを組む大城卓三捕手(27)との〝関係〟だ。実は試合を重ねるたび、バッテリー間のやりとりに変化が起きているというのだが――。

 あと一死で力尽きた。2―1と1点リードの8回、二死までこぎけるも2番・中井、続くソトを追い込みながらも連続四球。投球は134を数え、投げるたび力を絞り出すような声を上げるエースの姿に、ついに原辰徳監督(62)は腰を上げた。

 7回までは圧巻の投球を披露していただけに、試合後の菅野も「ピッチング自体は満足していますが、8回途中で交代することになってしまいイニングは投げ切りたかったです」と悔しさにじむコメント。指揮官も交代のタイミングについて「かなり全力で投げていたからね」と説明し、責めることはなかった。

 絶対エースが勝ちを重ねるその陰で、ぐんぐん成長を遂げているのが菅野の東海大直系の後輩にあたる捕手・大城だ。開幕前、初めてバッテリーを組んだ試合では菅野が「とにかく『意思表示』をしっかりしてくれ」と要求するなど、控えめな大城の〝情操教育〟からスタートしていたが、コンビを組むたびにその教えを吸収。菅野からも「うまく大城がリードしてくれた」という言葉が目立ちはじめ、最近では「(自身の投球の意図も)大城も察してくれている」と言わしめるまでになった。

 しかし、一方で気になることも…。それは菅野とのサインのやりとりで起きた変化だ。開幕当初はサイン通りとなると、遠くからも分かるほど大きくうなずき、時には笑みを浮かべ「オーケー、オーケー」とつぶやくこともあった。逆に意図と違う時はゆっくりと首を横に振るだけでなく、そのつど表情も変えるほどだった。

 しかし、最近はそういった「対話」は減少。リアクションも淡泊で、首を横に振るときも無表情。なかば〝塩対応〟ともいえるやりとりとなりつつある。

 その意図は一体何なのか…。菅野は大城とのやりとりの変化についてこう明かしていた。「会話というか、試合中もなるべく自分の考え、意図を感じ取ってもらうためにそういうふうにしてますけど、これからそういうのが少なくなっていけば、もっといいんじゃないですかね」。実は丁寧なやりとりは菅野の〝教育の一環〟であり、今の塩対応こそが大城の「成長の証し」だったのだ。

 ちなみにこの日の大城は捕手としてだけでなく、4回には先制となる6号2ランを右翼スタンド2階席まで運び、バットでもエースを援護した。〝TOKAIバッテリー〟をさらに熟成させるべく、菅野はこれからも大城を温かくも〝しょっぱく〟育て勝ちを重ねる覚悟だ。