【平岡洋二 連載コラム】気付けば目標のトラウト体格になってきた誠也

2020年09月02日 11時00分

入団2年目の2014年、一軍初本塁打を放ったバットを持つ鈴木誠也

【平岡洋二「アスリートの解体書」(13)】講習会やら説明会などでトレーニングの進め方、考え方をレクチャーしたり、後進の指導で講義をすることなども私の重要な仕事だ。その際必ず使用するものの一つが鈴木誠也(カープ)の裸写真の履歴だ。入団直後、3年後、そして最近のもの。それぞれ体重が83キロ、93キロ、97キロ時の前、横、後ろから撮影した裸体を並べて一枚の写真に合成したものだ。身長は181センチ。今や日本代表の4番バッターに成長したが、その肉体の変遷が隠された要因だと説明するのに十分な資料となっている。

 次の文は入団直後と1シーズン終了しキャンプイン前に書き留めた私の日記だ。「…鈴木誠也は2位指名。高校時は150キロ近くの速球投手だったのだが、40数発の本塁打と俊足を評価され内野手登録。トリプルスリーが目標と夢は大きい。チームの、いやアスリートの先輩、野村・金本に続くような選手に成長して欲しい。いい雰囲気を持っている…」(2013・02・01記)

「…今年も多くのプロ野球選手のオフトレで連日賑わったが、今日2月1日、一斉にキャンプイン。総括してみたい。7球団にもなったが、初顔は…とカープ勢の森下宗・鈴木誠也・中村祐太(新人)の6人。そんな中で、数値的にハッキリとした向上を示した選手から紹介したい。代表格は、カープ期待の高卒2年目の鈴木誠也。同時期の丸(カープ)を思い出させた。つまり日々成長と言っても過言でない程の伸びを見せ、僅か2か月間で脚筋力は約40%もアップ。その脚筋力の伸びを裏付けるように垂直跳びは体重8キロ増にもかかわらず10センチ伸びた。パワーと動きを同時に身に付けたと言えよう…」(2014・02・01記)

 1年目のオフ、自動車学校に通いながらトレーニング。で、深夜に寮でバッティング練習していた話やトレーニングでもやるたびに筋力アップを感じさせる驚異的な成長を見せ「お前の体は一体どうなっとるんや」と私に言わしめたことなど懐かしく思い出される。

 2試合連続サヨナラ本塁打の「神ってる」(新語・流行語大賞2016年)活躍で全国区になり、昨年のプレミア12大会優勝の立役者としてMVPを獲得。一躍メジャーからも注目される存在となった誠也だが、まだ26歳。末恐ろしい存在となった。

 ある時、目標とする選手の話を聞いた。188センチ、108キロ。「身長プラス20キロ」の堂々とした肉体。気付けば似た体格になってきた。プレースタイルも俊足強肩で守備範囲も広い右打ちのパワーヒッターと共通している。メジャー最高年俸「マイク・トラウト」だ。アスリートの毎年恒例行事のLA研修、メジャーのグラウンドでともにプレーする姿を見たいものだ。

 ☆ひらおか・ようじ「トレーニングクラブ アスリート」代表。広島県尾道市出身。広島大学教育学部卒業後、広島県警に勤務。県警での体育指導を経験した後、退職しトレーニングの本場である米国で研修を積み、1989年広島市内に「トレーニングクラブ アスリート」を設立。金本知憲氏(前阪神監督)や新井貴浩氏(元広島)、丸佳浩(巨人)ら200人に及ぶプロ野球選手を始めJリーグ・サンフレッチェ広島やVリーグ・JTサンダーズ広島など数多くのトップアスリートを指導する。また社会人野球や大学野球、高校野球、ホッケー日本代表などアマチュア競技のトレーニング指導にも携わり選手育成に尽力。JOC強化スタッフ、フィットネスコーチなどを歴任した。実践的なトレーニング方法の普及のためトレーナーを養成する専門学校での講義なども行っている。ジムのHPは「athlete―gym.com」。

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